ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

飲食店経営の傍ら、「犬用のフードメニューを作って!」とのお客様の声に応えたのがきっかけで、駒澤に kuma kitchen を出店。kuma kitchen は、「レストランのシェフが作る犬ごはんのお店」として人気です。その一方で、「保護犬を生まない社会」を目指してNPO法人JDS(Japan Dog Standard)を設立。東日本大震災に際しては、福島第一原発の20km圏内から15頭の犬を救出するなど、大活躍されました。そんな大瀧さんの幅広いご活躍についてお話しを伺いました。

ONE BRAND(以下、O.B.) 大滝さんが世田谷区駒沢で経営する「Kuma kitchen」(クマ キッチン)は、「レストランのシェフが作る犬ごはんのお店]として人気ですね。オープンのきっかけは何だったのですか?

大瀧 もともと僕は飲食業界で長く仕事をしていて、今も東銀座で洋食店「tsukiji kitchen」を経営しています。その関係で飲食業界に知人が多く、そのうちの1人から「ドッグカフェやってみない?」と誘われて、2005年、駒沢にドッグカフェを出店したのが、そもそもの始まりです。そのカフェでは、お客様に「犬用のフードメニューを作って!」というリクエストを頂くことがよくあって、いろんなフードを作って提供していました。これが好評だったため、ドッグカフェを経営しながら、2008年、同じ駒沢にkuma kitchenを出店することにしたのです。店名のkumaは、僕の愛犬・クマ太郎(7歳、ヨーキー)に因んだもの。自分の愛犬に食べさせたいと思うような、安全でおいしい犬ごはんを提供する店にしたいという願いを込めてつけた店名です。kuma kitchen のフードは全て、tsukiji kitchenのシェフの手作り。ペットの食への意識が高い飼い主の皆さんに高く評価して頂いています!

O.B.  現在はクマ太郎とチュー太郎(14歳、ヨーキー)の2頭を飼ってらっしゃるとか。もともと、犬はお好きだったのですか?

大瀧 子どものころから動物全般が大好きで、小学生時代は本気で「ムツゴロウ王国で働きたい!」と思っていたほどです(笑)。最初に犬を飼ったのは小学校4年生、それから実家ではずっと犬を飼っていました。ただ、大学2年の時に9年間飼っていたゴローを亡くして、いわゆるペットロス状態になってしまって…。しばらく犬は飼わなかったんです。
でも、その後、出会ったばかりの今の奥さんが「犬を飼うのが夢だった」ということで探してきたのが、チュー太郎でした。
チュー太郎との出会いは、僕にとってちょっとしたカルチャーショックでしたね。僕はチュー太郎を通じて、自分が犬を飼っていたころと全く違う、新しい犬の飼い方を知ることになりました。犬を家の中で飼い、専用フードを与えたり、洋服を着せたりする飼い方が、いつのまにか一般的になっていたんですね。最初は戸惑いましたが、チュー太郎が大切な家族になってくるに従って、僕もすんなりそのカルチャーを受け入れることができました。
ただし、犬を戸外で飼い、市販のペットフードを与えるという飼い方を否定するつもりは全くありません。犬への愛情に裏打ちされてさえいれば、そして犬が不幸でなければ、飼い主の信念に応じた飼い方をすればよいというのが、僕のスタンス。飼い方は人それぞれだし、「正解」なんてないはずですから。フードに関してもそうです。飼い主が各自で良いと判断したものを与えればいい。うちの店で扱っているような手作りご飯が全ての犬に必要だとは思っていません。「安全で安心な素材の物を食べさせてあげたい」と思う飼い主さんに選んでいただければいいと思っています。

O.B. ビジネスと同時に、動物愛護活動にも力をいれていますね。活動のきっかけは何だったのですか?

大瀧 きっかけは、kuma kitchenのお客様の紹介で、ドッグライフプランナーズ代表の岸良一さんと出会ったことです。そのお客様曰く「あなたたちは2人とも、志は高いのに商売が下手。2人で協力すれば何か面白いことができるんじゃないの?」って(笑)。
岸さんは、お母様が動物保護団体Save the Dogを主宰されていることもあって、保護活動についてとても詳しく、様々なアクションを起こしておられました。僕も岸さんとペットショップのプロデュースなどの仕事をご一緒するうちに、岸さんたちの活動に感銘を受け、お手伝いさせていただくことになったのです。それで2010年、岸さんら数名の賛同者と一緒に立ち上げたのが、NPO法人JDS(Japan Dog Standard)です。保護犬を生まない社会を目指して講演やイベントを通じた啓もう活動を行っていましたが、設立から1年ほど経った2011年3月にあの東日本大震災が発生。図らずも僕たちの活動スタイルは、大きく変化することになりました。

O.B. 震災直後に被災県のレスキューを開始されましたね。

大瀧 震災から数日後、Save the Dogに福島の被災者Aさんから直接電話を頂いたんです。Aさんは福島第一原子力発電所の20km圏内に住んでいたそうで、「すぐに戻れると思って、愛犬を自宅に置いてきてしまった。避難所にいるので車もなく、犬を助けにいくことができず心配で仕方ない。代わりに犬を助けに行ってくれないだろうか?」とのこと。まだ地震直後で、東京にいる僕たちには現地の様子すらよくわからないという状況でしたが、Aさんのお気持ちと犬の安否を考えると、いてもたってもいられず、迷わずお引き受けすることにしました。そして3月28日、僕と岸さん、岸さんの弟の3人で東京を出発。途中、道が閉鎖されていたり、水没したりしていて紆余曲折ありましたが。Aさんの愛犬2頭とAさんの知人・Bさんの愛犬1頭を無事救助できました。Aさんの2頭は繋がれたままでやや衰弱していましたが、Bさんの犬は自由に動き回っていたらしく元気でしたね。
そういえば、3頭を車に乗せて帰途についた時、不思議な出会いがあったんですよ。岸さんが「遠回りだけど、行きに通った道をもう一度通りたい」って言いだして、予定外の道を通ったんです。するとそこに、まるで僕たちを待っていたかのように、セッターやポインターなど3頭の犬が!!全くの想定外でしたが、もちろん彼らも一緒に車に乗せて東京に戻りました。

O.B. すごい偶然ですね!東京に戻られてからはどのようなアクションをとったのですか?

大瀧 AさんBさんの犬たちは落ち着くまでお預かりすることとし、偶然救助した3頭は動画を撮ってYouTubeにアップ。すると無事、飼い主さんが見つかりました!さらにその動画を見た別の被災者の方々から「うちの犬も助けにいってくれないか」という依頼も。そこで今度は車2台で再度20km圏内へ行き、最終的に計15頭を救助しました。
救助した犬たちをケアするための場所として選んだのは、栃木の那須にあるレジャー施設の跡地です。ちょうど東京⇔福島のほぼ中間地点にあって、何かと便利な場所だったので、ここに被災犬のためのシェルターをJDSが設営することに決定。被災地の雇用促進に貢献するために、被災地の女性2名を常駐スタッフとして採用し、あとは僕たち在京のボランティアスタッフが交代で現地に赴く、という体制でスタートさせました。
実はこの栃木のシェルターは敷地が約1000坪もあって、その気になれば300頭くらいは収容できるのですが、実際に僕たちがここでお預かりしたのは、一番多い時で25頭だけ。僕たちには「飼い主さんからお預かりしている大切な犬たちを、たとえ非常時とはいえ、いい加減に扱うことはできない」という信念があって、自分たちのキャパで十分なケアが出来る頭数以上は引き受けなかったのです。いろいろな考え方はあると思いますが、僕たちの場合、自分たちの身の丈にあった分相応な規模の活動だったからこそ、今まで続けられたんだと思っています。

O.B. 震災から1年余り。シェルターに保護した犬たちはどうしているのですか?また、今後の目標を教えて下さい。

大瀧 飼い主の元に戻ったり、新しい飼い主へ譲渡されたりして、今現在(2012年9月)、僕らの手元にいるのは5頭のみになりました。栃木のシェルターはすでに今年6月に閉鎖、現在はこの秋をめどに、東京都内に新たなシェルターを設置するための準備をしているところです。
東京にいると東日本大震災や原発事故の記憶がどんどん風化していますが、実際に被災地に行ってみると、まだまだ厳しい状況が続いています。被災犬についても最近はあまり報道されていないようですが、いまだに福島県内のシェルターにたくさんの犬が飼い主と離れ離れで暮らしているんですよね…。JDSの新しいシェルターでは福島の被災犬のうち、飼い主さんの事情で手放された犬や、いまだ飼い主の見つからない犬を引き取り、譲渡先を見つける活動を続けていく予定です。
同時にこの震災の教訓を風化させないための啓もう活動にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。一人一人の力は小さいですし、JDSもまだまだ微力ですが、ONEBRANDさんのようなメディアやオピニオンリーダーである著名人の力を借りて、被災犬や保護犬の存在をより多くの人に知っていただきたい。そしていつか、犬と人がもっとハッピーに快適に暮らせる社会が実現できたら、すばらしいですよね!

O.B. 大瀧さん、ありがとうございました!

大瀧知広(おおたきともひろ)

『kuma kitchen』
http://kumakitchen.com/
『NPO法人Japan Dog Standard』
http://www.jdogs.org/


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