ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

カラフルな色使いで犬の顔を描き続け、100犬種の似顔絵を発表している長友心平さんは、テレビや雑誌などあらゆる媒体で作品が採用されるなどイラストレーターとして大活躍。犬の絵を描くようになったこと、東日本大震災の被災地支援を行うようになったこと、そして犬の殺処分をなくすためにはじめたこと等をうかがいました。

ONE BRAND(以下、O.B.) 学生時代は彫刻や写真を勉強していたそうですね。
似顔絵を描くようになったきっかけは何だったのですか?

長友 学生時代は、九州のある大学で美術を専攻していたのですが、講義に意味を見いだせない日々を過ごしていました。今思えば、当時は学校で教わる「基礎」を自分の表現に昇華させることができず、悩んでいたんですね。そんなある日、友達から「インド旅行に行こう」って誘われたんです。インドに行って新しい世界を見れば、何かが変わるかもしれないと思って、その場ではすぐにOKしたのですが、家に帰って2人旅を想像して見ると、仲良しの友達と一緒では楽しいだけで、現状を変えることはできないんじゃないかって思ったんですよ。行くなら一人で行かなきゃ意味がないかなって。そう思ったら、居てもたってもいられなくなって、当時住んでいたアパートのドアに「先に旅に出ます」って張り紙をして(笑)、一人、自転車で旅に出たんです。目指したのは北海道・宗谷岬。出発地点が佐賀ですから、ほぼ日本を縦断する旅になりました。今思えば、この旅が僕の最初のターニングポイントだったと思います。

O.B. 自転車で佐賀から北海道まで!?すごく大変な旅だったことは想像できますが、その経験から長友さんは何を得たのでしょうか?

長友 最大の収穫は、自分の好きなこと・得意なことがはっきり自覚できたことですね。自分はコツコツと同じ作業を積み重ねていくのが好きだし、それが苦にならないタイプの人間だということに気づいたんです。なにしろ、旅行中は自転車をひたすらこぐ毎日。自分の足で1回ずつペダルを踏みこんでいかないと前に進まない。同じ作業の繰り返しです。でもその繰り返しに没入するうちに、カッコよく言えば「無我の境地」になって、自分の心がすごく整理されてくるんですよ。穏やかな心になれる。
その上で改めて周囲を見渡してみると、世の中には本当にいろんな人がいるんですよね。顔や雰囲気はもちろん、みんないろんな事情を抱えていろんな人生を生きている。1対1で向き合い、その方の個性を絵で表現できたらいいなと思って、上京後、井の頭公園で似顔絵を描きを始めたんです。毎日自転車をこぎ続けていたあの時と同じように、コツコツ描き続けていたら、何か得るものがあるだろうと思って…。

O.B. なるほど。後に犬の似顔絵を手掛けるようになったのも、井の頭公園での活動がきっかけだそうですね。

長友 そうです。井の頭公園で似顔絵を描いているときに、あるペット関連企業の方に声をかけていただいて、都内のペットショップで犬の似顔絵を描かせてもらうようになったのが、きっかけです。もともと犬は大好きなので、願ってもない仕事でした。犬も人と同じで、顔も性格も一頭一頭全く違いますから、描き甲斐もありますし。ただ、最初のころはダックスならダックスらしく、フレンチブルならフレンチブルらしく、犬種としての特徴をきっちり描こうとするあまり、やや固い絵になってしまいがちでした。でも、100犬種を描きあげたころから、肩の力を抜いて描けるようになったような気がします。先日も以前の僕の絵を知っている方が「最近、うまくなったよね」って言ってくれて、すごく嬉しかったなあ(笑)。これも、同じことをコツコツ、チマチマと繰り返してきた成果かもしれませんね。

O.B. 2011年の東日本大震災以降は、絵を通じた社会貢献活動にも精力的に取り組んでおられますね。

長友 東日本大震災では、身の回りでも多くの方々が被災されて、その心の悲しみを共有して行く中で、なんとかこの感情を自分自身を納得させたいと思いました。それで、鎮魂の祈りを込めて、失われた命のともしびを1つ1つ、水彩絵の具で描き始めたのです。しばらくして、いろんな人と描いてみたらどうなんだとうという気持ちになってきて、イベント会場などで興味を持ってくださった方に一緒に描いていくようになってから、どんどん輪が広がって…。今では長さ約20メートルにわたって命のともしびが描かれた、1つの作品になってきました。
2012年5月~6月には被災地である岩手県釜石市や福島市、宮城市でも「ともしびプロジェクト」と題してワークショップを行い、たくさんの方と一緒に、ともしびを描いていきました。不思議なことに、自分一人で描き始めた当初は「鎮魂のともしび」だったのですが、徐々に、未来を明るく照らす「希望のともしび」へと、意味合いが変わってきたような気がします。参画された皆さんの祈りが、被災地の悲しみを癒し、明日への希望をもたらすよう、願わずにいられません。

O.B. 被災地の犬たちに犬小屋を送るという、ユニークな活動にも取り組まれたのだとか。

長友 東京・青山の国連大学広場で定期的に保護犬の里親譲渡会を開いている団体・「Do One Good」さんが企画した「被災地にアートな犬小屋を届けよう」というプロジェクトに、他の皆さんと一緒に参画させていただきました。東北の間伐材で作った犬小屋にペインティングを施して、被災地の仮設住宅やドッグシェルターに送ったのですが、数が足りなくなるほどの大人気で、被災地の愛犬家の皆さんにとても喜んでもらうことができました。被災地では犬を連れて入居できない仮設住宅が多く、一日中、犬を外につないでおかねばならないケースもよくあったそうです。一緒に住めなくて、愛犬を泣く泣くシェルターに預けていく飼い主さんも多かったとか…。もちろん普通の犬小屋やケージでも用は足りたと思いますが、そこにアートを添えることで、日常の生活の中に少しでも癒しを届けられたとしたら、と思います。
飼い主さんや動物愛護団体の皆さん、ペットショップの方など、犬に係わって活動している人は、「もっと豊かな社会にしよう」という想いを持っている方が多いように思います。それに皆さん、行動力もあってフットワークが軽い。それぞれの想いや活動をどんどんシェアして広めていけば、社会はきっと少しずつ豊かな方向に変わるとはずだと思いますし、僕も自分の持てる限りの表現で活動に参加していきたいと思っています。

O.B. 日本ではいまだに5万頭を超える犬が殺処分されているという現状については、どう考えておられますか?

長友 僕自身もそうでしたが、多くの人は「5万頭の命が失われている」という事実を正面から受け止められていないと思うんですよね。そもそも、殺処分が行われているという事実自体を知らない人も多いですから、まずはその事実を自分自身の問題として当事者意識をもってもらうことからだと思います。
僕の場合、この悲しい事実を受けとめるために、当時の年間殺処分数から、1日あたりの殺処分数を割り出し、それと同じ数の犬の顔を1つずつ描いたんですね。制作時間も1日と決めて。これはともしびプロジェクトのずっと前の話で、僕はこういった形で、問題を受け止め、昇華させていきたいと思う傾向にあるようです。1つ1つ描いているうちに、失われた命がすごく具体的な数として把握できるようになって、そのあまりの多さに愕然としました。結局夜になっても描き終わらず、やっと描き終わったのは翌日の昼でした。
この経験から、じゃあ、この問題を解決していくために、自分には何が出来るのだろうと考えました。そして、今まで以上に「人と犬の暮らしを感じる絵」を描き続けていこう思いました。似顔絵にしても、飼い主さんの背景が見える絵。そうした制作活動の中で、一方ではこうした問題を、多くの人に伝えるキッカケになりますし、僕の絵を見て「犬のいる暮らしっていいな」と思う人が増えるかもしれない。今回はその絵がONE LOVEさんとのコラボで迷子札にしていただいて、とても嬉しいです。
また、保護犬たちについての情報発信にも積極的に取り組みたいですね。保護団体の方々とお付き合いしていく中で、どの子も保護された直後と、新しい飼い主のもとで暮らすようになってからとでは、表情が全く変わるんだなと感じました。おびえて引きつったり、無表情だったのが、少しずつ少しずつ、穏やかになっていくんです。心が寄り添って行く感じ。そして、その子に関わる人たちも優しく満たされた顔になるんですよね。
そのように、新しい出会いの場から生まれた物語もどんどん発信して、保護犬の存在をアピールし、保護犬と当たり前に出会い、当たり前に暮らす環境を日本にも広めていけたらいいなと思っています。
沢山の方々が、自分の得意な分野でアクションを起こしてたら、きっと人と犬が豊かに暮らせる社会が実現されると思うんです。みなさんで一緒に頑張っていきましょう!

O.B. 長友さん、ありがとうございました!今後の作品も楽しみにしています!

長友心平(ながともしんぺい)

『長友心平さんホームページ』
http://nagatomo-shinpei.jimdo.com/
長友心平さんのイラストが迷子札になりました!
http://www.obshopping.jp/SHOP/ol-023.html


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