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special interview

犬猫の殺処分問題を描いた話題作「犬と猫と人間と」から4年、東日本大震災では多くの人と同時に動物たちが被災しました。宮城県出身の宍戸大祐監督は故郷に戻り、ありのままの姿を記録し始めます。私たちの記憶の中で過去の出来事となりつつある被災地の今を知ることで、いのちを考えるきっかけとなればと思います。

ONE BRAND(以下、O.B.) 2013年6月1日に公開される映画「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」では、監督、撮影、ナレーションを務められました。被災地とはもともとどのような関係があったのですか?

宍戸 僕は仙台生まれの名取育ち。震災前は東京で福祉関係の仕事をしていましたが、震災直後に休職し名取の実家に戻り、今もそこに住んでいます。
最初は被災地で映画を撮ろうとまでは考えておらず、ただ被災地の状況を記録しておこうと思って撮り始めました。テーマも特に決めず、ただあちこち歩き回っては、心に響く風景や人物を撮り続けて、「何を伝えるべきか」を探そうと思っていたのです。

O.B. 被災地の動物にテーマを絞ったきっかけは?

宍戸 3月23日、「犬と猫と人間と」の飯田基晴監督から電話が入り、「アニマルクラブ石巻」の阿部智子代表と連絡が取れないので見に行って欲しい、と頼まれました。飯田さんとは学生時代に知り合い、飯田さんが主催する映像サークル「風の集い」で映像技術を教わって以来の付き合いです。
飯田さんによると、アニマルクラブ石巻は、石巻で30年以上も活動を続けている動物愛護団体で、場所は海から1kmほどしか離れていないとのこと。急いで駆けつけてみると、幸い阿部さんは無事。クラブに当時保護されていた70頭の犬・猫のうち犬が2頭、猫が1頭犠牲になってしまいました。阿部さんの元にはすでに近隣の地域から、被災動物に関する相談が殺到していて、クラブは大わらわの状態。僕はクラブを手伝いながら、被災動物や彼らを取り巻く人々の様子を取材することに決めました。もともと動物が大好きで、一時は獣医師を目指していたこともあるので、被災動物の問題は非常に身近で取り組みやすいテーマでもありました。

O.B. 取材中、最も印象に残っている光景は?

宍戸 どの光景も忘れられませんが、最も強く印象に残っているのは、福島第一原発の警戒区域(原発から半径20km圏内)に置き去りにされた牛たちを取材した時のことです。取材のきっかけは、事故発生直後から、警戒区域の動物たちにボランティアでエサを届け続けていた、岡田久子さんに「牛の映像も撮ってもらえませんか?動画を配信して世論を盛り上げたいのです」と頼まれたことでした。震災からすでに5ヶ月以上が経ち、牛舎に繋がれたまま置き去りにされた牛たちの多くは餓死していました。しかし、牛たちの糞尿と腐乱した死体の悪臭が立ち込める牛舎の中で、夏の暑さや空腹、喉の渇きにじっと耐えながら、やっとのことで生き残っている牛たちがいたのです!撮影を終えると、僕も岡田さんと一緒に、夢中で藁や水を運び続けました。飢え死に寸前の痩せ細った牛たちが弱々しく水を飲み、藁を食べる様子をみながら、僕の中に、ものすごい怒りがこみ上げてきました。置き去りにした人への怒りではありません。こんな現実を生んだ日本という国に対して、電力会社のずさんさに対して、そして原発の問題にこれまで無関心だった自分自身に対しての怒りです。

O.B. 今回の映画ではその牛たちの映像や、道端に放置されたままの猫や犬の死体など、残酷ともとれる映像が出てきますね。

宍戸 そうですね。確かに残酷だという声はあるかもしれませんが、まぎれもない被災地の現実なので、敢えて出しています。あの死体を見ることで、動物たちが死んでいったという現実「直面する感覚」を、皆さんに共有していただきたいと思っています。飼い主を待ちながら死んでいった動物たちの死を「なかったもの」にしたくなかったんですね。
震災後、いろいろな人から「被災地のために何かしたいけど、何をしたらいいかわからない」「私は何をすればいいでしょうか?」と言われたり聞かれたりしました。出来ることはたくさんあると思います。被災地の動物はいまもボランティアを必要としています。また、ボランティアを物資や資金で応援することも大きな支えになります。被災地の動物や人に関心をもちつづけ、その関心を人と共有することも大切な力になります。だから今回の映画は、被災地の現実を知ってもらうためのツールとして作った面もあるのです。
特に震災から丸2年が経って、東北以外の地域では、震災がどんどん「過去」になり、忘れられつつありますよね。僕は名取や福島と東京を行き来して生活しているので、その温度差を感じずにはいられません。もしかしたら福島から遠い西日本の方々にとっては、原発事故の問題でさえ、どこか遠い国の問題のように感じられるかもしれない。でも、地震国・日本にすんでいる限り、どこにいても地震から逃れることはできないですよね。原発にしても、全国にこんなにたくさんあるんですから、事故の不安から逃れることはできません。映画に映し出される被災地の現実を共有することで、地震や原発への問題意識を共有してほしい。そして死んでいった動物たちの姿を見て、「動物を守れるのは人間しかいないんだ」という意識を日本中の人にもってほしいのです。

O.B. 映画「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」は、2013年6月~全国公開ですね。
次回作の構想はあるのですか?

宍戸 構想とまではいかないのですが、被災地の動物たちの様子は今も撮り続けています。映画に出てくる石巻のお好み焼屋の主人・小暮榮一さんが、震災後飼い始めた猫のミーちゃんに最近、マイクロチップを装着するというので、先日会いにいってきたところなんですよ。彼らが今後どう生きるのかを、ぜひ見届けたいですね。
原発事故の問題も、今後どういう形にまとめるかはわからないですが、僕なりの視点で撮り続け、世に問うていきたいと思っています。

O.B. 次回作にも期待しています!宍戸さん、今日はありがとうございました。

宍戸大裕(ししどだいすけ)

「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」公式HP
http://inunekoningen2.com/


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