ONE LOVEへのメッセージ


獣医師・ペットライフアドバイザーとして株式会社Treatsを設立し、ドッグオーナーに向けてペットと飼い主がともに楽しく暮らすための様々な知恵とライフスタイルの提案を行っている高倉はるかさん。"動物行動治療学"を専門とされている高倉さんに、愛犬への向き合い方、溢れる情報の中でどうすれば自分らしいハッピーな暮らし方が出来るかをお話いただきました。
人と犬の明るい未来を作るプロジェクト ONE LOVE
日本では年間に53,268頭もの犬が殺処分されているという実態があります。(平成22年度 環境省発表)この現状に対して1頭でも多くの犬たちの命を救うために、動物保護団体への寄付や飼い主さんへの啓発、保護犬文化向上のための支援に取り組んでいます。
1人ひとりの小さな“ONE LOVE”を集めて大きな力にするために、私たちに出来ることから始めませんか。
ONE BRAND(以下、O.B.) 直接獣医師として、病院で働くのではなくて今のお仕事の形体を選ばれたのはなぜなんですか?
高倉 もともと病院でカウンセリングなどを行っていたんです。実際に困っている飼い主さんと直接お話ができて、直接お手伝いができるのはすごく良いことなんですけど、何時間もかけて1頭ずつしか出来なくて。予防的なこととかもう少し色んな人が共通で気をつけなければいけないことがあるので、そういう基本的な知識を広くお伝えできることができないかなと思ったのがきっかけです。
O.B. カウンセリングを始められたのはいつごろですか?
高倉 8年前ぐらいですね。当時はまだ行動学ということが今ほど知られていなくまだ需要も少なくて、人間もカウンセリングするっていう文化がないのに動物に関してカウンセリングを受けるっていうことが理解されない部分もありました。
O.B. そのころ一番強く感じられたことはなんですか?
高倉 カウンセリングに来る方ってすごく勉強していらっしゃるんです。だけど実際に自分の愛犬に合わせることがうまくできなかったりとか、応用したりする力がちょっと足りなかったり、あとは本によって違うことが書いてあると、勉強すればするほど混乱していて何が正しいのかわからなくなっている方とかも多いんですね。知識と実際の技術とか方法とかのギャップをすごく感じたんです。本では理想的なことが書いてあるけど、現実は違うっていうことが結構あると思うので、私としては、そういう理想と現実の間のギャップを埋めていきたいです。現実に即したアドバイスだったり、方法だったりを提案できるようにしています。
O.B. 高倉さんが主に力を入れられていることは何ですか?
高倉 特に犬は飼い主さんとの関係がすごく重要だと思うんです。一番不幸なのは飼い主さんに「この犬さえいなければ」と思われること。それでも日本人って飼い続ける方が多いんですけど、殺処分はされないにしても、ほぼ等しい扱いのわんちゃんたちっていると思うんですよね。ご飯とかはあげるのに散歩とか十分な関わりを持ってあげていないと、犬は乱暴なことをして関心をひくようになって…という悪循環が発生するんです。動物行動治療学の基本は観察なので、その犬の性格とか飼い主さんの現実的な今の状況などを良い方向に向かわせるためにゴールを決めて、それに向かってなるべく最短だけど現実的な方向を提案するということが私の仕事です。あとは情報の精密さというのが、色んなところから色んな情報がきていて、何を取ればいいのかって分かりづらくなっていると思うんですけど、どれを取ればいいかって結局犬とかその飼い主さんの考え方によると思うので、そういう選択の仕方もを伝えられたらと思っています。
O.B. 今実際に啓蒙の活動で何か定期的にされていることは?
高倉 パピーパーティを動物病院で開催したいって思って今まさに始めているところです。なかなか先生方はしつけの話がしづらいとか、質問されてもうまく答えられないっていう方がすごく多いんですね。なので、病院に対するサポートとしてパピーパーティのやり方とか開催のノウハウみたいなものを伝えていく活動をしていきたいです。そうやって病院でやっていただくと、ちょっとした病気でもわんちゃんを連れていくようになってくれますし、相談もしやすいし、長い目で見た時には子犬が病院に慣れるのはすごく重要なことになると思うので。トレーニングの方法とかをやるのではなくて、もっとトータルな暮らし方というか、この子をあなたが今後どのように育てていくかみたいなことを観察して具体的な生活の仕方に重きを置いたことを提案していきたいですね。
O.B. テーマが犬だったりペットだったりされますけど、どっちかというと情報の読み聞き方というか。
高倉 そうですね。結局ペットのことって飼い主さんが決めることじゃないですか。犬のために自分の人生を犠牲にすることは良くないと思うんですよ。自分のライフスタイルの中で上手に犬を飼うとか、自分の経済力の中で犬や猫をより快適にするということだと思うんですね。医療費が払えないのに家を売ってまで犬の病気を治そうとするのは幸せな飼い方ではなくて、もっとお互いがハッピーな生活の仕方があるんじゃないかなとか。そのためには情報の選択とか自分の今出来ることを明確にすることが必要なんじゃないかなって思います。
O.B. 無理をして暮らした結果、犬との別れを選ぶ人が出てしまうんですね。
高倉 そういう捨てる人の意識を変えていくことってすごく難しいと思うんです。ある程度勉強したり、一緒に楽しく暮らしたいって思っている人たちの意識を変えて、本当の底上げではなくて途中からの底上げで、その下の人たちも引っ張り上げるということしかできないと思うんですね。まずはもっと上の人の意識を向上することで、もう少し下の人たちが「そういう犬との暮らしができるんだ」と目標を高くできる。そうすれば自然にずるずると上がるんじゃないかなって思うんです。
O.B. 獣医師でもあり動物行動の専門家でもある高倉さんからみて殺処分の現状に対して率直にどのようにお考えですか?
高倉 仕方のない場合も確かにあるかと思います。ただ仕方がなく手放さなきゃいけない人がいるっていうことと、それが殺されるっていうことが直接結びつく必要はないと思うんです。上手な手助けができる場所がもう少しあれば、そういう必要がないのに殺される犬たちは減らせると思うんですね。問題のある犬は殺処分という選択ではなく、子孫を残さない。問題ない犬であれば積極的に家族探しをする。それも私の活動の目標の一つです。
O.B. 高倉さんから犬を飼ってる方、これから飼われようとしている方にメッセージをお願いします。
高倉 「勉強しよう」ですね。飼い主さんが勉強することがまわりの意識が上がる一番原動力になると思うんです。飼い主さんが勉強すると良い犬が増えて、市民権も得られて入れる場所が増えて、まわりの飼い主さんも良い飼い主さんも増えて…という良いサイクルが出来てくるので。まずは今飼われている方が勉強することが重要かなって思います。
あといつも私が言うのは「犬を飼うことは結婚より重大な決断」。犬や猫は巣立ってくれるわけではないので飼ってしまったら死ぬまで自分が世話をしなければいけない。責任もあるし自分の生活もその分制限されるので、絶対素敵なことばかりだけじゃないです。普通の家庭が普通に犬との暮らしを楽しみたいなら、それなりの労力をかけなければいけないですよね。ただし、その労力をかけるときに子犬のときにいっぱいかければすごく効率的に良い犬を育てることができると思うんです。
