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ONE LOVE's mesasge  郡司ななえ

ONE LOVEへのメッセージ

郡司ななえ

ONE LOVE PROJECT

27歳で失明するもその後結婚、「目の見えるお母さんのような子育てのできるお母さんになりたい」という情熱から犬嫌いを克服し、盲導犬との生活を始めた郡司ななえさん。その最初の盲導犬との日々をつづった著書『ベルナのしっぽ』はドラマ化され、また映画化もされ、多くの人に感動を与えています。また盲導犬とともに各地を回った「盲導犬ベルナのお話の会」は平成20年7月現在991回と会を重ねています。そのお話の会では盲導犬のことだけではなく、生きることの大切さ、素晴らしさが語られ、聞く者に勇気と希望を与えてくれています。共に暮らしてきた、そして今でも暮らしている盲導犬たちを「しっぽのある娘」と呼ぶ郡司さんからの、優しくも厳しい ONE LOVEメッセージです。

人と犬の明るい未来を作るプロジェクト ONE LOVE

日本では年間に53,268頭もの犬が殺処分されているという実態があります。(平成22年度 環境省発表)この現状に対して1頭でも多くの犬たちの命を救うために、動物保護団体への寄付や飼い主さんへの啓発、保護犬文化向上のための支援に取り組んでいます。
1人ひとりの小さな“ONE LOVE”を集めて大きな力にするために、私たちに出来ることから始めませんか。


ONE BRAND(以下、O.B.)  ONE LOVEプロジェクトへの賛同ありがとうございます。 早速ですが、盲導犬と暮らす郡司さんにとって犬とはどのような存在ですか?

郡司 実を言うと私はもともと犬が大嫌いでした。幼稚園のときに大きな犬に襲われて、死ぬほど怖い思いをしたんです。それ以来、犬は苦手な存在でした。でも目が見えなくなり、自分の情熱をどこに持っていけば良いのか悩んでいた時、目の見えるお母さんと同じように子育ての出来るお母さんになりたいと思ったんです。それには「白い杖での生活ではダメ、盲導犬と暮らす必要がある」と決心しました。だから私は「お母さんになるために犬・盲導犬と暮らす」その生活を選択したんです。それからの27年間、3頭の盲導犬と暮らしてきました。でも、実際、「犬」と一緒に暮らしてきたという意識はないんですよ、盲導犬とは暮らしていますけれどね。だって私は「犬」が苦手なんですもの(笑)。だから一般的な愛犬家ではないですね。その盲導犬のベルナもガーランドもペリラも私の子どもなんですよ、「犬」だとは思っていないんです。ベルナは晩年、白内障になりました、盲導犬として充分なる活動ができなくなった犬たちには、「リタイア犬」としての日々があります、しかし最期まで一緒に生活し続けました。だって私はベルナのお母さんだったんですから。 ベルナが亡くなって、その後を追うように夫が亡くなりました。残された私と、当時まだ小学六年生だった息子の幹太との生活に、家族の一員として加わったのが二頭目の盲導犬ガーランドでした。でも、たった一年二ヶ月を一緒に生活しただけで、ガーランドは急性白血病になってしまい、その短い生涯を閉じました。もちろん、その看病は大変でした。三歳二ヶ月という若い命が病魔におかされてゆくのですから、息絶え絶えとなってゆく娘の姿を見守りながら必死の看病でした。私はベルナもガーランドもその死まで看取りましたけれど、それはたまたまこちらの受け入れ態勢がそれを許すという状態だったからできたことなんですよ。だから途中でリタイアさせてしまう盲導犬使用者より、最後を看取った私が特別優しかったわけではないのです。

O.B. ベルナもガーランドもそしてぺリラも、郡司さんにとっては大切な家族ということなんですね。そんな郡司さんからみて、犬を捨ててしまう人がいるという現実をどう考えますか?

郡司 厳しいことを言うようだけれど、犬を捨てる人は自分の生活が『本当に豊か』じゃないんだろうなぁ・・・と思います。ある意味、自分を大切にしていないんでしょうね。自分の生活を大切に思えば、犬が邪魔になったからってその生活の一部を切り離すなんて・・・今が本当に満たされていると思えば犬を捨てるなんてアクションはおこさないでしょ。それに犬を捨てる人は、犬のことを可愛いがることはするけれど愛情は無いんじゃないかと思います。可愛いというのは感情で、愛情とは違うから。そこをごっちゃにする人がいるんでしょうね。それで色々と問題が起こっちゃう。怒ると叱るは別、優しさの裏には厳しさが必要なんですよ。きっと、飼い始めた頃はさぞかし可愛かったことでしょう。泣き声だって。だからついつい甘やかしてしまうんでしょうね。そうやって、きちんとしつけをされないままで犬は成長してしまうのですから、当然言うことを聞かないで吼える、近所から苦情が来る、持て余すようになって放棄する、手放すということなんじゃないでしょうか?可愛がってもいいけど、赤ちゃん犬の時からきちんとしつけておくことは必要なんですよ。甘やかすということは、本当の愛情、「ビタミン愛」じゃないんですよねー。それに犬と暮らすということは覚悟が要ることなんですよね。そんなカッコいいことばかりじゃなくって、身体を清潔に保つとか、unchiは拾うとか、狂犬病や予防接種だって受けさせてって金銭的にもかかることじゃないですか。とことん面倒を見る覚悟が無ければ、犬を飼っちゃいけないと思うんです。犬と暮らすということは、つまりその犬の一生に責任を持つということですよね。


O.B. 郡司さんはこれまで学校をはじめ少年院、少女院をまわって、1000回にも渡る「お話の会」を通して、生きることの素晴らしさや、生命の大切さを訴えてこられたわけですが、その原動力はどこにあるんでしょうか?

郡司 共に生きることは素晴らしいことだよということをみんなに伝えたいのかな。共に生きるということは、私の場合はベルナ・ガーランド・ペリラであり、一般的には親子、友達、恋人、犬、誰でも良いのだけれど。心が通い合うことは素敵なことよって。心を通わせられる相手がいるって楽しいことよって。それは電車の中で隣り合った人だっていいのよ、バス停で待っている時に前に並んでいる人でもいいし。人は何も孤独なんかじゃないんですよ。ちょっとした触れ合いが人間を幸せにしてくれて、心を丸くしてくれるんだと思うの。犬と共にいる幸せっていうのは、なにも大げさなことじゃないんですよ。テレビみたいなドラマチックなことは無くて、日常生活の何気ないことに幸せを見出せるかどうかですよね。多少嫌なことがあったって、夕日を浴びて一緒に歩けるなんて幸せじゃないですか。日々の暮らしの中にはいっぱい小さな幸せがあって、犬と一緒に暮らしているとそれに気付くきっかけをくれる。それに1人で歩いているよりも犬と一緒だと、沢山の人が声をかけてくれるし。沢山の人が助けてくれる。そういう小さな幸せが積み重なって本当の幸せになっていくんだと思うのよね。

O.B. 確かに、夕日を背に一緒に家路につくって、それだけで何だか暖かい気持ちになりますね。ところでペリラちゃんは、もう14歳だそうですが、こうして見ていると毛ヅヤもいいし、若々しく見えますよね。

郡司 そうですね。ペリラは8月で14歳になりました。多分、日本で最長老の盲導犬でしょうね。歳をとれば若い頃にできたことが難しくなることもあるけれど、そういう部分は私が気をつけたり、周りの人がみんな声をかけて助けてくださるんですよ。私はそういうのがすごく嬉しい。犬がいることでみんな優しくなってくれるのが嬉しいですね。「ペリラが若々しくいられるのはエステにお金をかけてるの」って冗談で言ったりするけれど、そんなことはまったくなくて(笑)、今でも現役で仕事をして、彼女なりに日々生きがいを持っているからだと、私は思いますよ。


O.B. なるほど、若々しさの秘訣は人にも通じるところがありそうですね。では、最後にひとことONE LOVEメッセージをお願いします。

郡司 長く一緒に暮らすと、人でも犬でも猫でも同じでしょうけれど、それだけに心の通じ合いが濃くなってゆきますよね。そこが共に生きる者同士の喜びであり、また私たちの宝物なんだと思います。心が通い合う喜びを知れば、首を傾げたくなるような事件や、悲しい出来事ももっと減ってくるのではないかと私は思います。私の場合は常にペリラが横にいます。そう、ペリラは一緒に歩いていると、さかんに私に話しかけてくるんですよ。そんな時にいいなぁ~、幸せだなぁ~って、お母さんの私は実感するんですよねー。生きるってことは、大変だったり、つらかったりすることが沢山あるものです。でも、その中に幸せだと感じる瞬間があるから生きるってやっぱり素晴らしいことだって思えるんですよ。犬と一緒にいるとそういう幸せをいっぱい見つけられるはずなんですけどねぇ。今、犬と暮らしている人も、これから暮らしたいと思っている人も、是非そんな共に生きることの素晴らしさをたくさん感じてほしいですね。そして、不幸な犬が少しでも救われることを祈っています。

郡司ななえ (ぐんじ・ななえ)
新潟県高田市(現上越市)生まれ。
17歳で発病したベーチェット病により、建設会社勤務中の27歳で失明。現在、東京都在住。
「共に生きる社会とは何か?」というテーマで1頭目の盲導犬ベルナの晩年のころより「盲導犬ベルナのお話の会」を主宰。その死後2頭目の盲導犬ガーランドに引き継ぎ、現在3頭目の盲導犬ペリラと全国の幼稚園、小・中学校、高等学校、大学、そして地域団体などで開いている。現在、その回数は、1000回を超えようとしている。日本文芸家協会会員。日本盲人作家クラブ同人。
http://www3.ocn.ne.jp/~perira/index.html

『ベルナのしっぽ』
http://www.nana-cc.com/syoseki/book_i9.html
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200108000083

映画『ベルナのしっぽ』DVD発売中
http://www.creativevillage.ne.jp/project/beruna.html