ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

小学5年生(11歳)のときに緑内障で視力を失った栗山さん。24歳のときに盲導犬との暮らしが始まりました。現在は2代目の盲導犬ダイアンと暮らしています。アーティストとしてダイアンと武道館を目指す栗山さんの犬との絆は、盲導犬であってもなくても同じのようです。盲導犬とのありのままの暮らしぶりや、音楽にかける情熱をお聞きしました。

O.B. 盲導犬との出会いはいつですか?

栗山 11歳のときに全盲になって、それでも杖があればどこでも行くことはできたのですが、盲導犬を持ってみたいなという夢はありました。でも鍼灸師の資格をとり、20代初めは病院勤めだったから、やはり抜け毛のこともあるし、犬の世話や健康管理がちゃんと自分でできるかなと思って踏み出せないでいました。しかし盲学校の教員になることになり、学校ならある程度融通が利くかなと思ったのが23歳のときです。そして24歳のとき、人生最初のアイメイト(盲導犬)のパームと暮らせることになりました。

O.B. 初代パームと8年過ごしたのち、パームは引退し、2代目の盲導犬としてダイアンがやってきて2年経ったそうですが、盲導犬と暮らすのはどうでしたか?

栗山 10年前は、今よりもまだまだ社会が盲導犬に対して冷たかったです。パームが住める住宅を探すのも大変だったんです。今でもレストランなどではやんわりとNGをだされるお店は少なくないです。でもこの10年でだいぶよくなってきたと感じますよ。

O.B. 早く偏見がなくなることを願います。さて、盲導犬と暮らすことによりどんな変化がありましたか?

栗山 それまで13年間、杖でどこへでも行ける自信はあったのですが、やっぱり犬がいたら世界が広がりました。人から声をかけてもらったりすることも増えたし、出会う人の量が増えたと思います。また犬がきてから、生活が犬中心になりましたね。犬のことを考えて、行動するというか、行く場所を決めるようになったり。それに、犬の世話をすることも初めてだったので、そういう面でも生活が変わりました。

O.B. ああ、そうですね、自分で犬の世話をしないといけないんですね。

栗山 ええ。盲導犬は、僕らの自立を促すためのものですから(笑)。

O.B. そうですよね。失礼しました。でもそうはいっても何かと大変ではないかと思います。

栗山 はい、抜け毛もね、コロコロ(粘着シート)で手当たり次第やるけど、取り残しがあっても見えないから…。また、ウンチもね、たまに道で粗相してしまうときがあるのですが、取り残しがあったりしても見えない。周りの人が言ってくれることもあるけれど、苦情がくることもあります。

O.B. 盲導犬は、家で完全に排泄をすませて出かけると聞いていましたが、生き物ですから途中でもよおすことがあっても仕方がないですよね。

栗山 そうなんです。でもいまのダイアンは、道で排泄するのはいけないことだと感じているようで、無理して立ち止まらないようにしてウンチをしたりするんですが、それでよけいに僕が気付かない(苦笑)。だからいまは、道でしたくなったら、止まってウンチをする練習をしているんです。

O.B. きっとダイアンも仕事中だから気を遣っているんですね。・・・たとえば、私たちのが、たまたま盲導犬のそんな場面に出くわしたら、お手伝いしてもいいものなんでしょうか? でも、盲導犬には仕事中に話しかけたりしてはいけないと言われたりしますけど。

栗山 人によるでしょうね。犬の気が散るというのはあると思います。それで怒るユーザーもいるようですが、でも僕だったら声をかけてもらったら嬉しいですね。それでご縁が広がったりしますし。

O.B. そう聞くと嬉しくなります。お手伝いできることがあればいいなと思います。それにしてもダイアンは飼い主想いの頑張り屋ですね。

栗山 盲導犬は、基本的には「前の障害物を避ける」のが仕事なんですが、本当はそれ以外のものもたくさん与えてくれます。歩いていても精神的に安定感があるというか心強いです。だけど、ハーネスをとって、家にいるときは「オフ」(仕事外)ってわかっていて、はしゃいだりしますよ。なんてダイアンはお茶目なんだろうと思う場面も多いです。それにレストランなどで僕がトイレに行く間、待たせておくと、小さな声で「クゥーン」と鳴くらしいです(笑)。

O.B. あらら、盲導犬でも寂しいんですね(笑)。

栗山 ええ、盲導犬であっても普通の犬です。むちゃくちゃ僕を頼ってますね(笑)。おかげで子どもが1人いるような感覚を学べました。ダイアンは商店街のシャッターの音が怖いし、ハトも怖い。それに意外と体調も崩す。とくに僕が体調を壊すと、ダイアンまで体調不良になる(笑)。意外と繊細なんですよ。盲導犬って完璧なロボットのように思われるけど、そんなこと全然ないです。

O.B. なんだか盲導犬のイメージが変わってきました。でも、たしかにロボットでなくて当たり前。生身のパートナーですよね。

栗山 そうなんです、普通です。それに僕は一応「障害者」だけど、自分は「障害者」だとは思っていない。みんなが思うほど不幸じゃないです。同様に、盲導犬も特別視されることもないのでは、とも思います。普通の飼い主と同じだし、普通に犬の世話をして、犬の得意なところ(目)をお借りして僕は普通に歩いているんです。

O.B. とても納得できます。さて、このたびペットの殺処分をテーマにした短編映画「OROKA」とのコラボレーションイベントがあり、そこでダイアンもステージと共にデビューライブに望むそうですね。

栗山 はい。「盲導犬をネタにして……」と言われてしまう心配もあるとわかっているのですが、でもダイアンとはいつも一緒で、一心同体。僕は、自分のライフワークを歌うわけだから、ダイアンがいるのが普通。ダイアンは僕の一部ですから。ダイアンから曲や詞をもらったりすることもすごく多いんですよ。

O.B. それは素敵ですね。ではペットの殺処分に関して想うところはありますか?

栗山 殺処分のことは今回の映画で聞くまで考えたことがなかったけど、僕も医療関係の勉強をしているのでわかるのですが、ガス室で窒息死に25分もかかることもあるなんて…あんまりですね。パームとダイアンとの絆から得たもの、犬が私たちにくれるものはもっと大きいということを、歌を通じてみんなにアピールしていきたいです。僕は、犬や周りの人に助けられたからお礼がしたい。人を助けたり、犬を助けたり…、僕は歌を通して、誰かの役に立てれば嬉しいです。

O.B. 頑張ってください。最後にダイアンとの今後の暮らしで目標や予定はありますか?

栗山 パームのときは僕も若かったら、飲みに付き合わせたり(笑)、引っ越ししたりしたので、ダイアンにはもうちょっとQOL(人生の質)を向上させてあげたいなと思っています。それに、いつかダイアンともお別れのときがきます。協会でリタイヤ犬の飼い主探しもお願いできるのですが、協会に頼むと2度と会えなくなるのがルールなので…8年も一緒にいたのに、二度と会えないなんて…そう思って、パームのリタイヤ後の飼い主は自分で一生懸命探しました。おかげでいい人に巡り会えて、いまも飲み友達です(笑)。僕のライブにもパームを連れて来てくれるんですよ。盲導犬は、家庭犬とは違い、リタイヤしなくちゃいけない時期が来るのは辛いですけど、いつかはダイアンにもそのときがきます。だからダイアンにも、いい飼い主さん探してあげたいと思っています。

栗山龍太 (くりやまりょうた)

盲目アーティスト。11歳のときに病気で全盲となる。点字で勉強し、筑波大学に合格、鍼灸あんまマッサージの資格を取得後、さらに筑波大学理療科教員養成施設に入学、現在、横浜市立盲特別支援学校にて鍼灸手技療法はじめ、医療系全般の教員をしている。2009年、結婚し子どもが生まれたのを機に、長年の夢であったアーティストを目指すことに。2010年11月にCLUB CITTA川崎にてデビューライブを果たす。


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