ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

講談社「別冊フレンド」でデビューし、少女漫画から大人の女性向け作品に幅を広げて活躍を続ける成毛厚子さんは、一貫してホラー、サスペンス作品を書き続けることで、人の心の闇、愚かさ、醜さを鋭くえぐる独自の世界を追求し続けています。そんな成毛さんが、「ずっと犬が飼いたかった」を上梓されました。保護犬出身のれい子さんとの暮らしについても伺いました。

ONE BRAND(以下、O.B.) 2011年2月に漫画以外では初めての著書となる「ずっと犬が飼いたかった」を出版されましたが、ファンの方など周囲の反応はいかがでしたか?

成毛 これまでホラーやサスペンス系の漫画ばかり描いてきましたので、周囲の方にとっては少々驚かれました。親しい友人からは冗談で「いつ殺人が起きるんだろうって、ドキドキしながら読んだよ」ってからかわれたりして(笑)。また、私は長い間猫を飼っていまして、雑誌で猫に関する連載も持っていましたから、猫派というイメージがあったのでしょうか、「え、成毛さんが、猫じゃなくて犬の本を?」と意外に思われた方もいたようです。
ただし、100%犬の本かと言うと実はそうでもなく、猫について書いてある部分もたくさんあります。犬好き・猫好き両方の人に読んでもらえればいいなと思っています。

O.B. タイトルにあるとおり、「ずっと犬を飼いたかった」成毛さんは、なぜこれまで犬を飼わなかったのですか?

成毛 実は子供のころに実家で犬を飼っていたのですが、あまり上手に関わってやることができなくて、今思うとずいぶん可哀そうな飼い方をしていたんです。その罪悪感を大人になっても引きずってしまい、犬をまた不幸な目に合わせてしまうのではないかとう不安があって、飼うことができませんでした。
それと愛犬家=アウトドア派と思いこんでいたのも、犬を飼わなかった理由の一つ。テレビや雑誌で描かれる愛犬家って、みんな陽気で快活ですよね。キャンプやバーベキュー、渓流釣りなんかを愛犬と楽しんでいる様子を見て、インドア派の私は「私には絶対無理!」って何度思ったことか(笑)。今にして思えば、全くの杞憂でしたが、「猫に比べて犬の方が、手がかかるのでは」という不安も大きかったですね。

O.B. そんな成毛さんが、2年前に、この本の主人公でもある「れい子さん」を飼い始めたきっかけは何だったのですか?

成毛 ちょうどその年に、21年間一緒に暮らした2頭の猫(ホタルとさより)を亡くしたんです。覚悟はしていたものの、喪失感からひどいペットロスに陥ってしまいました。何も手に付かず、全ての時間が止まってしまったような毎日が続いて…。さすがにこれではいけないと思い、新しい猫を飼おうとインターネットで猫の里親募集サイトを見たりしたのですが、どうしてもホタルとさよりのことを思い出してしまって、新しい猫を選ぶことができませんでした。
そんな時、思いついて犬のページを見てみると、こちらは冷静に見ることができたんです。そこでいろいろなサイトを見て、見つけ出したのが、今、我が家にいる「れい子さん」。本の表紙にもなっている犬です。れい子さんは、動物愛護センターに収容されたところを、ボランティアの方によって救い出された、いわゆる『保護犬』で、年齢も以前どんな生活をしていたのかもわからない犬。でもとても人懐っこくて、まるでスナックの「ちいママ」のように魅力的で控えめな甘え上手(笑)。私は譲渡会で初めて会った途端に彼女をすっかり気に入り、すぐにもらいうける事を決めました。

O.B. 子犬ではなく成犬、しかも保護犬を飼うことには抵抗はありませんでしたか?

成毛 ありませんでした。子犬だと将来どんな性格の犬に育つかわからないですが、成犬なら見ただけである程度性格がわかりますから、自分に合わない性格の犬を選んでしまう心配が少ないのではないかと思います。ちなみにれい子さんは、穏やかでおとなしい性格の犬を希望していた私にぴったりの犬でした。
また、保護犬は引き取り後、預かりの方がボランティアで最低限のしつけをしてくれていることが多いので、私のような犬初心者にはむしろ飼いやすいのではないかと思いますね。なお、預かりの方には、れい子さんが我が家に来た後も引き続き、何かとアドバイスをいただきました。犬に慣れていない私には、とても心強かったですね。

O.B. れい子さんがやってきて、成毛さんの生活は変わりましたか?

成毛 激変しました!(笑)以前は漫画家にありがちな、昼夜逆転のひきこもり生活をしていたんですが、今ではどんな悪天候でも朝夕1時間ずつの散歩は欠かしません。昔から運動は大嫌いでしたから、こんなに歩いたり走ったりする生活は生まれて初めてのことです。もちろん、面倒に感じることもありますよ。でもれい子さんは、おしっこもウンチも家の中では絶対にしないんです。じっと我慢しているれい子さんの健気さをみると、散歩に行かずにはいられません(笑)。「散歩に行く時間を確保するために昼間に集中して仕事⇒散歩に行って運動⇒疲れるから夜ぐっすり眠れる⇒早く寝るから早起き出来て、また散歩に行ける!」という好循環がいつの間にかでき上がって、すごく生活が健康的になりましたね。

O.B. 初対面の印象が「ちいママ」のようだったというれい子さんですが、実際に飼ってみてどうでしたか?

成毛 予想通り、ちいママのような大人の女性でした(笑)。犬を飼う前は「犬は遊んであげなきゃならないし、手がかかって大変」と思いこんでいたんですが、れい子さんは全くそんなことないんですよ。むしろ私が「遊んでやらなくちゃ」と思って遊びをしかけても、当のれい子さんの方は冷めてたりして(笑)。特別なことをしてもらうことより、ただ単に飼い主と一緒にいることの方が犬にとっては幸せなのかもしれませんね。特に、れい子さんのように一度捨てられた保護犬には、その傾向が強いように思います。
今、安心しきって暮らしているれい子さんを見るにつけ、なんでこの子が捨てられてしまったのか考えずにいられません。そしてれい子さんのように救われず、処分されてしまった多くの犬たちのこともついつい考えてしまいますね。

O.B. 以前は保護犬の存在をご存知ありませんでしたか?

成毛 知ってはいましたが、深く考えたことはありませんでした。れい子さんを飼い始めてからは、恐ろしい殺処分の現実を頻繁に見聞きするようになり、ずいぶんと考えさせられました。
私たちが払う税金で動物愛護センターなる施設が建てられ、そこでは愛護どころか「殺処分」が行われているということ。そしてそこから犬たちを助け出そうと身銭を削って頑張っているボランティアの方々がいること。これらの現実を紹介したいと思ったのが、今回、初めて漫画以外の本を出そうと思った理由でもあります。もっとも、かくいう私も、預かりボランティアなどはとてもできなくて、れい子さんの他に、キチという名の捨て猫を引き取って育てているだけ。でも1人1人ができるだけのことをやれば、積もり積もって大きな力になると信じています。

保護犬の問題を知るにつけ、人間の業の深さを感じずにいられません。今回の本では、人間はそんなに傲慢でいいのか?という問いかけをしたつもりです。捨てる人は、自分自身、もしくは自分の子どもが同じような境遇に置かれたとしたら、どれだけ恐ろしくて苦しい思いをするかを想像してみて欲しいですね。捨てることがどれだけ残酷なことか・・・。ただ、お説教臭くならないように、シリアスになり過ぎないように敢えて軽いタッチで書いたので、どなたにも読みやすいはず。1人でも多くの方に手にとってもらい、動物愛護について考える小さなきっかけになればいいなと思っています。

成毛厚子(なるもあつこ)


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