ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

放送作家としてテレビ番組制作の現場で忙しくお仕事される一方で、動物愛護管理法を動物たちのための法律として改正されるようにと活動をしている藤村晃子さんは、動物たちへの愛をさまざまな形で発信しながら多くの人を巻き込み、「何とかしなきゃ!」という気持ちを署名にして集めておられます。活動を起こすきっかけや現行法の問題点、犬との共生社会を実現するために必要な3つのポイントについてもうかがいました。

ONE BRAND(以下、O.B.) 藤村さんが、動物愛護管理法改正に向けて活動されているのは、何かきっかけがあったのですか?

藤村 もともと犬が大好きでトリマーの資格を取得し、動物病院で看護師としても働いていました。途中、アメリカに行って働きながら勉強したりもしつつ。日々、動物たちに囲まれて、健康になるお手伝いができることには充実感がありましたが、病院に来る動物たちだけでなく、もっと広い意味で動物たちのためにできないかと考えるようになって、取材する立場になろうと決めました。それから放送作家の事務所に入ったんですが、なかなか動物の話題を取り上げることが出来ずにいたんです。そんな時に六本木ヒルズUMUで写真展が行われるので、何かやってみたらと声を掛けてもらったのがきっかけです。じゃあ私は定時定点回収車という犬や猫を回収して殺処分場に運ぶ車を取材して、会場でその映像を流せれば良いと思って取材を始めたんです。

O.B. 映像を拝見しましたが、捨てに来る人々の声が何よりショックでした。

藤村 命を救うために日々、病院で働いた経験があるので、健康で何の問題もない犬が、明日には殺されるというのに、次々と捨てられる様子には心が痛みました。半日の同行取材で行列が出来ていたり、捨てに来るのは2度目というような人もいたんです。私は定時定点回収自体が悪いとは思わないんです。問題なのは、そこに簡単に捨てに来てしまう飼い主だなと・・・。回収している人に話を聞くと、自分たちが回収しないと山や川に捨てられてしまうと言うんです。

O.B. そもそも、どうして飼っている犬を捨てられるのでしょうね?

藤村 捨てる人は命に対しての想像力がないんだと思いました。その犬が捨てられた後に、どれほどの苦しみを経験して、どうやって死んでいくのか。また捨てられた瞬間に犬がどう思うのかなんて考えないんでしょうね。そこで法律で何とかならないものかと調べると、5年に1度、動物愛護管理法が見直しされることが分かったので、今すぐ何か始めないといけないと大変だと思い、「動物愛護管理法を見直す会」を立ち上げました。殺されていく犬を見て、可哀想と思っているだけじゃ何も変わらないと思ったんです。国を変えたり、他人を変えたりするのは大変だけれど、まずは自分を変えてみようということで、スタートさせました。

O.B.現在の動物愛護管理法の問題点はどこにあるのでしょうか?

藤村 そもそもの成り立ちが、犬を管理するための法律なんです、愛護という名前は付いていますが。ですから動物の命を守るために虐待の定義をきちんと定め、8週齢以下は母犬から離さないというような動物のための法律に今回の改正で変えていただきたいと思っています。また、多くの殺処分場では二酸化炭素を用いて、恐怖や苦しみを長時間に渡り味あわせ殺しているという現実があることです。2000年のアメリカ獣医師会で麻酔の作用があるというような結果が出たといいますが、私は疑問を持っています。安楽死とはあくまでも、眠るように安らかな死を遂げることであって、呼吸が苦しくなり、息が出来ない状態で失神するように死ぬことではないと考えていますので。ただ、ペット市場は1兆3千億円と言われるほど産業として大きく膨れ上がっていて、国に入る税収もそれに伴って多くなっているんです。そうなると、世の常として、どんどん生産性を高める方向に進んで、規制やモラル意識は鈍化するものですから。であれば、産業を保護するための法律は別に考えてもらって、動物愛護法は、動物の命を守るための仕組みにしなくてはなりません。それが本来の意図として機能しないのでは、名ばかりで全く意味がないです。

O.B. 本格的に取り組まれて1年で、多くの方を巻き込んで署名活動が広まっているのはすごいですね。

藤村 私1人では何も出来なかったと思っています。滝川クリステルさんや、浅田美代子さんが参加して下さったり、当時国会議員だった藤野真紀子さんがお役所の方や国会議員の方に声を掛けて下さったり、めぐろのいぬやしきの松本卓子さんにも協力もいただき、本当に感謝しています。会に寄せられた署名は1万件に届くほど集まっているんです。皆さん何とかしなきゃと考えていたんだなと思います。それに、少しずつ殺処分数が減り、譲渡率が10%になったという発表がありますが、あれは保護団体さんによる引き出しが増えたからだということを忘れてはいけないと思います。国や行政が出来ない部分を担っているのだから、もっと手厚い支援があってしかるべきだとも思いますね。

O.B. 何とかしなきゃ!という気持ちが形になっているんですね。

藤村 そうですね、私には何も出来ないという方が多いですが、出来ないと言ってしまうと、やらないということに繋がりますから、まずは行動しよう!と思うことですね。積極的に話し合うとか、フリーマーケットをやって売り上げを寄付するとか、希望している物を団体に送ることでも良いと思いますので。肩肘張らずに、気軽に楽しみながらやってみるということですね。保護犬を預かることについても、今のように1人が10匹、20匹一時預かりをというのはかなりの労力ですよね。でも1匹預かるだけなら、出来るという人も多いと思うんです。そうやって保護犬が身近な存在にもなっていけば良いなと思います。そうなれば、引き取ろうという人も増えるんじゃないでしょうか。また、殺処分の問題がテレビや雑誌で取り上げられたり、署名が多く集まったからといって国の仕組みは変わらないんです。だから楽観しないで11年の改正の行方を見守って欲しいと思います。また、法律を変えるということは政治家に動いてもらわないといけませんので、まずは私たち国民が声をあげ続けることしかないと思うんです。これだけ国民の間で意見が上がっているんだということが、国を動かすことに繋がるのだと思います。

O.B. 最後にメッセージをお願いします。

藤村 人と犬との共生に必要なのは、「知・徳・体」だと私は思います。「犬を知りしつけする・命を尊ぶ道徳心を持つ・犬と一緒に運動し健康的な活動をする」、この3つが相互作用すること。これこそ共生社会の実現ですよね。ほかにも不妊、去勢をして飼うこと、知識の薄い素人による繁殖を決してしないこと。動物病院では乱暴な繁殖が原因で先天性の病気を持つ犬を多く看護しました。彼らは苦しい障害を抱えたまま一生を過ごさなければなりません。そういう犬たちが飼育放棄されてしまったら・・・と考えると。一人ひとりが意識を持って行動していくこと。今日それがどれだけ出来たかによって、明日は必ず変わっていきます。愛のある判断と行動で、この状況を変えていきたいですね。

藤村晃子(ふじむらあきこ)

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