ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

多くの人に感動を呼んだ『盲導犬クイールの一生』を書かれた石黒謙吾さんの自信作、『どうして? 〜犬を愛するすべての人へ』は、犬と動物と人間を愛するすべての人へのメッセージが込められています。その想いは、まさしくONE LOVE.スピリッツ。満を持して共に暮らし始めた愛犬「先輩」とのエピソードに笑みがこぼれつつ、犬と暮らすことを改めて考えさせられるインタビューです。

ONE BRAND(以下、O.B.) 今日は石黒さんの愛犬、先輩にも同席頂きお話を伺います。「先輩、よろしくお願いします(笑)」。石黒さんは犬に関する著書を多く書いておられますが、ずっと犬と暮らして来られたのですか?

石黒 子どもの頃はうちの親がムツゴロウさんみたいな人だったんで(笑)、犬に限らずアヒル、サル、金魚、ヒヨコ、熱帯魚、コイ……なんでもいましたよ。そして犬は生まれたときからずっといました。それから、叔父2人が獣医なんですよ。1人は亡くなりましたが、開業医として、熱海で石黒犬猫病院をやっていました。もう1人は能登で牛の研究をしていた役人です。僕は金沢にいたので、近所ではなかったんですが、やはり、犬との縁は深いのかもしれませんね。

O.B. お仕事をしながらも犬との暮らしを続けておられたのですか?

石黒 大人になってから犬と暮らすのは「先輩」が初めてなんですよ。1人暮らしの頃は、世話ができないのではかわいそうだと思ったから犬は飼わないようにしていたし、結婚してからもペット禁止のマンションに住んでいたので。5年前にペットOKのマンションに引っ越して犬を飼える環境にはなったんです。でも2年くらいどうしようかねぇ?、なんてカミさんと考えていました。そうしたら縁あって、生後2週間くらいの「先輩」と出会っちゃって……見た瞬間に「決めたっ!」って(笑)。ちょうど飼ってもいいなというタイミングだったんです。それから親元に3ヶ月間いてから我が家に来ました。

O.B. ウン十年ぶりの犬との暮らしはいかがでしょうか?

石黒 とにかく「先輩」が来てからの2年8ヶ月は楽しいですね。朝30分間散歩に行くんですけれど、その前、6時にゴハンを食べる。で、5時を過ぎた頃から「まだ?」って起こしに来るんですよ。『まだまだ』って言うんだけれど5分おきに起こしに来る(笑)。飼う前は毎朝犬の散歩をするってすごいな、と思っていましたけれど、実際に飼ってみると特別大変とは思わないし、楽しいものですよね。休日には、近所の公園にもよく行くようになりました。気分も安らぎますし、「先輩」と騒いだり遊んだりは最高です!それと「先輩」が家に来てから、家に帰るのが楽しみになりました。「いるな〜、待っててくれてるな〜」って思うとつい早足になったりして(笑)。「先輩」は僕がほんの10分シャワーを浴びるために席を外したり、ゴミ捨てに行って戻って来ただけでも大喜びで、大歓迎して飛びついてくるんですよ。そんな姿を見ていると、「先輩」のことは僕たち夫婦が責任持って育てていかなきゃと思いますね。

O.B. 犬をテーマに書かれるきっかけは、やはり犬が好きということだったのでしょうか?

石黒 僕は以前から、盲導犬使用者の会のイベントに、取材ではなくボランティアの方と同じ立場で参加しいています。また、クイールの本がきっかけとなって、徐々に知り合っていった方々、たとえば、盲導犬に関わる人々や、盲導犬を引退した犬たちを引き取るボランティアの皆さんなどとふれ合い、「素晴らしいな」。「何か残したいな」と感じると、本の企画として出版社に通しているんです、クイールの時もそうでした。『盲導犬クイールの一生』は94年の1月に秋元良平さんの写真集を見たのがきっかけです。これは刊行まで7年と、すごく時間がかかりました。僕は普通のボランティアの方のように、犬のために100%時間をかけられるわけじゃないから、せめて本作りという仕事、自分がテリトリーの中で役に立てればいいなと思っています。

O.B. なるほど。中には盲導犬のようなアシスタンスドッグは人のためになっているだけで、犬が可哀想だというような声も聞こえてくるのですが……。

石黒 盲導犬をはじめとするアシスタンス・ドッグについて、「人のために働くのは可哀想」だと思っている人には、「犬は人のために働くことが好きなんだ」ということを知っていただきたいです。先入観で決め付けるのではなくて犬の性質を知ってもらえばいいですね。きっと犬は「家で何もせずに寝ているんだったら何か仕事したい」と思う生き物。その方が嬉しそうにしていますから。もちろん、盲導犬はトイレを自由にできないなどのストレスもあるだろうけど、人の役に立っているという喜びの方が大きいと思いますよ。人の中で一緒に暮らして喜び、なかなか街中では見かけない光景だけれど、ハーネスを外すと普通の犬に戻って走り回って遊ぶこともあります。「働いていることイコール可哀想」ではありませんね。

O.B. 犬の殺処分をテーマに書かれた『どうして?』はどのようにして生まれたのですか?

石黒 『どうして?』に関しては珍しく出版社からお話しをいただきました。原作『How could you?』の文面を読んだ時には、お断りしようかなと思ったんですよ、悲し過ぎて。可哀想な話は苦手で……。『どうして?』では原作の文章をかなり変えています。そちらはちょっとキツイんですよ、ストレート過ぎて……。殺処分の問題とかって、テレビや写真で見せられると僕は直視したくありません。編集者としての仕事もやったので、イラストやデザインなど色々と考えて、受け容れてもらえるように工夫して作りました。可愛いとか可哀想だけじゃない、本質的な動物への愛というメッセージを伝えたかったんです。

O.B. ONE LOVEプロジェクトでも伝え方はとても重要だと考えています。ただ真実を突きつけるだけでは辛くて目を背けてしまいますよね……。

石黒 知らなければいけないことではあるけれど、見なくてもじゅうぶん想像できることがありますよね。見せ方をソフトにすることで多くの人の心に届くことも多いのです。強烈過ぎるものは、伝える側としても苦しいのです。たとえば「年間12万頭の犬が殺処分されています」という言葉だけで十分過ぎるほどだから、わざわざ犬の写真など出す必要はないと思うのです。いろんな事が想像できると思うんですよ。

O.B. 犬と暮らす人、これから犬を飼おうと思っている人に石黒さんからメッセージをお願いします。

石黒 とにかく、殺処分などという恐ろしい行為は、本当に減らしていかなければなりませんよね。そのためには、まず、「もらおう!」ということが第一ですよね。 紹介だったり、インターネットで調べたり、里親ボランティアさんにお願いしたり、色々と手段はありますが「犬はなるべくもらうようにしましょう」と言いたいのです。だって、昔はごく普通に犬はもらうものだったじゃないですか?あとは、売ったり譲ったり、つまり引き渡す側が、飼いたい人が本当に犬を飼える状態なのかを見極めることも必要ですよね。保護犬だって、誰でもいいから引き取ってもらえばいいというものじゃありません。僕は、理想論と言われそうですが、犬種で選ぶとか、犬種ブームというものを苦々しく思っています。犬が飼いたい、犬と暮らしたいんだったら犬種はなんでもいいじゃないですかと呼びかけたい。それから、これは言わずもがなですが、飼う責任があるからきちんと散歩させるとか、食事を適切な量だけ与えるとか、犬を飼うにあたっての基本的なことができるかどうかには、ちゃんとたちむかってほしい。さらに、去勢するかどうかなども飼い主はちゃんと考えて決めないといけない。子どもを産ませる目的で飼っていないのであれば、去勢した方がいいでしょうね。あと、犬はかまってもらいたい動物だから、少しでも、いっしょに遊ぶ時間を作ってほしいですね。あ、「犬が好き」なら当たり前のことでしたね(笑)。とにかく、犬と暮らす際の選択肢の一つとして、犬はもらえるんだって事を、みんなで意識していきましょう。

石黒謙吾 (いしぐろけんご)

著述家/編集者 1961年 金沢市生まれ
映画化もされた『盲導犬クイールの一生』や、『どうして? 〜犬を愛するすべての人へ』『パピーウォーカー』など犬関連をはじめ、『ダジャレ ヌーヴォー』『CQ判定 常識力テスト』『ベルギービール大全』『ナベツネだもの』などカルチャー路線まで著書多数。さまざまな図表を駆使し構造オチ方向になんでもチャート化する“分類王”としての代表作に『図解でユカイ』が。編集者としても、『ザ・マン盆栽』(パラダイス山元)、『ナガオカケンメイの考え』(ナガオカケンメイ)、『やさぐれぱんだ』(山賊)など幅広いジャンルで多くの書籍を手がける。星稜高校では松井秀喜の14学年先輩なのに(!?)野球をドロップアウト。油絵描いて芸大受験3浪で断念し、出版の世界に。野球とビールと犬と銭湯とかわいいもの、そしてアツい心を愛する。最新刊は、自身の体験をもとにした、心に染み入る7つの短編小説集『犬がいたから』(集英社)。

『犬がいたから』
http://www.blueorange.co.jp/books/ishiguro/inuita.htm
『どうして? 〜犬を愛するすべての人へ』
http://www.blueorange.co.jp/books/ishiguro/doushite.htm
『パピーウォーカー』
http://www.blueorange.co.jp/books/ishiguro/puppyw.htm


SUPPORTER サポーター募集中!

詳しく見る

累計寄付金額44,380,368円

寄付実績

パートナー



当サイトのリンクについて