ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

毎年多数の動物に関わる職業人を輩出している専門学校の理事長であり、カウンセリングに基づき子犬を販売するという日本では珍しい「パピーオーダーシステム」に取り組んでいるドッグサロンの代表でもある下薗惠子さんは、生まれたときから犬たちに囲まれて育ちました。ご自身も現在、6頭の犬たちと暮らす愛犬家でもある下薗さんに日本の動物愛護に対する意識の変化などについてお話を伺いました。

ONE BRAND(以下、O.B.) 下薗さんのお父様は、日本のペットショップの草分け的存在として知られる「青山ケンネル」の創業者・故吉澤銀三氏と伺いました。やはり幼いころから下薗さんにとって犬は身近な存在だったのですか?

下薗 そうですね、物ごころついた頃からずっと犬たちに囲まれて育ちました。
父が青山ケンネルを創業したのは1956年(昭和30年)で、当時はまだペットとして犬や猫を飼っている家庭は少なく、今では主流になっている純血種の犬もまだ珍しかった時代です。でも父の仕事のおかげで、私は純血種の美しい犬たちを間近に見て触れ合う機会に恵まれていました。
私の犬に関する最初の記憶は、小学校入学前。クリスマスに父からのプレゼントとして大きな箱を青山ケンネルの従業員が届けてくれました。その箱を開けてみると、中にはなんとブルーのリボンをつけた小さなマルチーズの子犬が。その時の嬉しかった気持ちは、箱を開けた時の匂いと一緒に今も鮮明に記憶に残っています。後で知ったのですが、その犬はアメリカのチャンピオン犬の子供だったそうです。

O.B. ペットショップ自体が珍しかった昭和30年代、お父様は青山ケンネルだけでなく、日本初のペットホテル「わんわんホテル」も設立されています。お父様はどんな理念をもって事業にあたられたのでしょうか?

下薗 父は商売上手な人で、人を喜ばせることに抜群のセンスを持っていました。犬を介して暮らす楽しさや喜び、心の豊かさが広まることを願っておりました。この願いが父の事業の基本的な理念だったのです。もちろんこの理念は今も、青山ケンネルおよびシモゾノ学園の理念として受け継いでいます。
また、父は純血種の犬に強いこだわりをもっていました。純血種には一種の芸術作品のような、品格のある美しさがあるんですね。父はそれをとても大切にしていて、販売だけでなく純血種の繁殖・保存にも生涯強い関心を持ち続けていました。

O.B. 1984年(昭和59年)には御主人の故下薗龍二氏がシモゾノ学園の前身である「青山ケンネルカレッジ」を開校されました。教育事業への進出にはどんな背景があったのですか?

下薗 結婚前、主人は某有名百貨店に勤務しておりました。営業職だったこともあり、コミュニケーション能力は抜群。日本で初めてローンでペットを購入できるシステムを提案・導入するなど、大変なアイディアマンでもありました。ただし、父に見込まれて畑違いの分野からこの業界に入りましたので、犬に関する知識はほとんど持っていませんでした。そこで自ら犬の飼育やトリミングを学び始めることにしたのです。しかし当時この業界で行われていた教育はあまり体系的なものではなく、いわば師匠の仕事を弟子が見よう見まねで覚える、徒弟制度のようなスタイルが主流でした。主人は「このままでは専門的なプロの人材が育たない。人材が育たない業界に発展はない」と痛感し、一念発起して、トリミングや動物看護の専門家を育てる教育機関の立ち上げに取り組みました。1997年には青山ケンネルカレッジとは別に学校法人シモゾノ学園を設立し、現在は国際動物専門学校(東京都)と大宮国際動物専門学校(埼玉県)の二校で約1000名の学生が学んでいます。

O.B. 御主人の亡き後、下薗さんご自身が学園理事長に就任されました。どのような思いで教育に取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

下薗 主人の意志を継ぎ、「高い専門性をもち、動物業界に必要とされる人材、動物業界の明日を切り開いていける人材の育成」に力を入れています。同時に、ただ単に知識やスキルを身につけるだけでなく、動物福祉の精神や一人の社会人としての品格を身につけられる教育を実践しています。教育に携わる者として私が何よりも嬉しいと感じるのは、学生達の成長です。例えばただ「犬が好きだから」という漠然とした動機で入学してきた学生も、知識や技術の修得が進むうちにみるみる成長し、社会に羽ばたいていきます。教育の力って本当に素晴らしいですね。学生達が成長していく姿を間近に見るのが、私の何よりの活力源です。

O.B. もう一つの活力源は、現在ご自身で飼われている愛犬たちなのだとか。お忙しい中、犬たちとは普段どのように過ごされているのですか?

下薗 現在一緒に暮らしている犬はキャバリア5頭とミニチュアシュナウザー1頭の計6頭です。仕事上、家を空けることもあるので、手伝いをお願いすることもありますが、時間のある限り極力一緒に散歩に出かけたり、遊んだりして愛犬たちと過ごしています。よく、「下薗さんは動物の専門家だから、さぞかしきちんと飼われているんでしょうね」なんて言われるのですが、自分の犬に関しては、どうしても甘くなってしまって、素人同然になってしまうんですよね(笑)。もちろん周囲の皆様のご迷惑にならないということが大前提ですが。

O.B. キャバリアが特にお好きな犬種なのですね!

下薗 そうですね。でも実のところ、数年前まで、あまりキャバリアに特別な思い入れはなかったんですよ。好きになったきっかけは、キャンディという雌のキャバリアとの出会いでした。キャンディはオーストラリアから青山ケンネルが輸入し、いずれお客様に紹介する予定でした。青山ケンネル(恵比寿)では仔犬をお客様にご紹介する前に必ず1〜2週間手元において様子を見ます。その間に私をはじめ家族全員がキャンディの天真爛漫さ、素直さにあっという間に魅了されてしまったのです。たまたまキャンディには決まったお客様がまだ居なかったということも後押しをし、家族の一員となったのです。大げさでなく、私たち家族にとってキャンディは運命の犬だったのです。私自身は、キャンディに犬と暮らす楽しさ、素晴らしさを再認識させてもらい、犬に関わる仕事の意義を見直すきっかけをもらいました。また当時宝塚歌劇団を退団し、動物に関わる仕事に挑戦しようとしていた娘の莉惠(現青山ケンネル専務取締役)には、自らの信じる道を歩いていく勇気を与えてくれたようです。残念ながらキャンディはもう亡くなってしまいましたが、今は彼女の子供たちを含め5頭のキャバリアに癒され、多くの気づきと刺激をもらいながら生活しています。

O.B. 長く動物業界で活躍されていますが、日本の犬を取り巻く状況について、何か変化を感じてらっしゃいますか?

下薗 父が事業を始めたころに比べると本当に色々な変化がありますね。
まず犬自体が変わってきました。食べ物や飼育環境の変化によるものでしょうか、良質なドッグフードが増え、肉食が主であった犬が穀物などを含んだ総合食を採ることによって、気性が穏やかな犬が多くなったことも事実です。
飼い主が犬に求める要素もずいぶん変わりました。今は犬に癒しや可愛らしさを求める方が圧倒的に増えましたね。トリミングで人気のスタイルを見てもそれがよくわかります。一方で父の時代に注目されたような純血種への関心は年々薄れているようです。国内で開催されるドッグショーに出陳する数も減っているそうで、少し心配ですね。先程申し上げました通り、純血種には計り知れない芸術品のような美しさがあります。このスタンダードな美しさを後世に伝えていかないと、犬文化の継承も発展もありえません。私たち犬のプロが純血種の素晴らしさをもっと認識して、皆様にお伝えする役割を担わなければならないと感じています。

O.B. 動物愛護を取り巻く状況については何か変化を感じてらっしゃいますか?

下薗 まだいろいろと問題は残っていますが、少しずつ良くなってきているのではないかと思います。例えば年内に予定されている動物愛護法の改正では、いわゆる8週齢問題(生後8週間以下の子犬の販売を規制するか否か)の議論も焦点になっていますし、関心を寄せる方が増えているのは確かですね。ONELOVEプロジェクトで取り組まれている殺処分の問題についても、皆さんの努力で少しずつ問題の認知度が上がっているのではないでしょうか。
もちろん私自身、殺処分は決してあってはならないことだと考えています。訓練しても改善できない極めて危険性の強い犬についてはやむを得ないといえますが、危険な犬になってしまう原因は、子犬時代の飼われ方に問題があるケースがほとんどです。つまり最初にどんな人間に出会い、どんな接され方をしたかによって、犬の人への態度が決まってしまうのです。ブリーダーやペットショップなど犬の販売にあたる私たちは、この点を常に意識して犬に接すべきです。犬を「モノ」として扱うのではなく、一つの命として愛おしむ気持ちを忘れてはなりませんし、販売に際してもしっかりとお伝えしなければなりません。
人と犬がより幸せに、快適に過ごせる社会を作るのが私たちシモゾノ学園および青山ケンネルの使命です。特にシモゾノ学園では教育を通じて若い世代に、この使命を伝え、動物福祉と愛護の精神を継承していきたいと思います。

O.B. 今日はありがとうございました!

下薗惠子(しもぞのけいこ)

『学校法人シモゾノ学園』
http://www.iac.ac.jp/
『青山ケンネル株式会社』
http://aoyamakennel.com/


SUPPORTER サポーター募集中!

詳しく見る

累計寄付金額46,211,799円

寄付実績

パートナー