ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

トリノ五輪で金メダルを獲得後、現在はプロスケーターとして多くの観客を魅了し続けている荒川静香さん。幼いころから動物が大好きで、現在は4頭の愛犬とともに毎日を過ごしています。マニュアルに縛られない接し方や、アスリートならではの健康管理、老後のための“犬貯金”など、飼い主さんにとって「なるほど!」なお話が盛りだくさん。犬ときちんと向き合うことの大切さを実感するインタビューとなりました。

動物は、人間以上に命の大切さを教えてくれます。
自分に子どもができたら、犬と一緒に成長してほしいですね。

ONE BRAND(以下、O.B.) 愛犬家である荒川さん。犬との暮らしはいつからですか?

荒川 初めて犬と暮らしたのは10歳のとき。実はそのころペット不可のマンションに住んでいたんですが、犬を迎えるにあたって家族で一軒家に引っ越しました(笑)
そのコが亡くなったあとに迎えたのが、シー・ズーのチョコ(メス8歳)。それから、2006年のトリノ五輪が終わってプロとしての生活をスタートさせるとき、何か記念にと迎えたのがカニンヘン・ダックスのティラミス(メス6歳)です。でも、家に迎えて一週間ほどで片方の目に疾患があることが分かり、一年以内には失明するだろうと診断されました。若年性白内障で、獣医さんいわく先天性のものだろうと。そのことをペットショップに伝えると「他のコと取り替えますか?」と言われてしまって。ショックでしたね。相性や運命を感じて迎えた犬なら、疾患も含めてそのコの個性だと私は思うんです。ペットショップに連絡したのは、もし先天性の疾患なら、同じ思いをするコが産まれないようにブリーダーさんに伝えてほしかったから…。犬の命を握っているのは人間なんだと実感しました。
幸い、ティラミスの目は今でも少しは見えているようです。ストレスを抑えることで病の進行が遅くなるらしく、獣医さんからも奇跡的だと言われました。ただ、いつか見えなくなったときに身近にパートナーがいてくれたらと思い、今度は信頼の置けるブリーダーさんを自分で探して同犬種のアロマ(メス6歳)を迎え入れました。現在は、チョコとティラミスとアロマ、それからアロマの娘のローザ(メス4歳)の4頭と家族一緒に暮らしています。両親にとっては、犬たちは私の下に妹がいるような感覚みたいですね(笑)

O.B. 多頭飼いならではのエピソードは?

荒川 ティラミスとアロマは半年ほどの年齢差ですが、その程度の歳の差はモメますね(笑)。体力や体格が似ていて、順位付けが明らかにならないんです。でも、どういうときにお互いがイヤな思いをするのか、原因が分かれば対処できるので大丈夫。反発するにも理由がありますから。

O.B. しつけは荒川さん自身がされたんですか。

荒川 はい。でも、必ずしもマニュアル通りにはいかないですよね。犬種の性質など本質的なものはあるとしても、マニュアルはあくまでも血液型占いのような感覚でとらえて(笑)。個々の性格に合わせた接し方で、そのコにぴったりのライフスタイルを送らせてあげたいんです。そのためには、犬ときちんと向き合って理解してあげることが大切だと思います。飼い主の接し方によって犬の気持ちや行動は変わってくる。向き合えていないと、どんなサインを出しているか分からないですし、そのサインがいつもとどう違うか、見続けていないと理解できません。理解できなければ扱いづらく感じるだろうし、接しにくくなって、犬との距離ができてしまうんだと思います。
体調管理については選手時代からの私のコンディションの保ち方と同じ(笑)。私はあまり体重計に乗らないようにしているんですが、それは体を動かしたときの感覚を一番頼りにしているから。犬も同じで、体重を量るだけじゃなく、体を触って、どういう締まり方をしているのかチェックするんです。実際、同じ体重のコでも抱いてみると全然違いますよ。

O.B. アスリートならではの興味深いお話です。

荒川 太ったときには、単に食べ過ぎなのか、運動が足りていないのか、数字だけでは分からないことがあります。体力、性格、個性、そのコのタイプを知らなければケアできませんから、毎日触って、変化に気付けるようにしています。知ろうとしなければいくらでも見落としてしまうので。

愛犬のためにできる備えと覚悟。
そのひとつが、犬貯金です。

O.B. 荒川さんにとって犬はどんな存在ですか。

荒川 元気をもらえるし、いてくれることのありがたさを感じます。命の大切さを教えくれるのは人以上に動物だとも思うので、子供を持つチャンスがあれば、犬と一緒に成長してほしいなって思います。私は幼いころ、両親が動物愛護センターに連れて行ってくれて犬と触れ合う機会を作ってくれました。そこで、悲しいことに殺処分されてしまう犬がいることや保護犬の存在を知りました。犬を迎えたいと思ったとき、そういった施設から命を繋げていく選択肢があることを自然と知り、幼いながらに命の大切さをすごく感じたことを覚えています。
犬の老いは人よりも早いものですよね。これから先、うちのコたちにも何があるか分からないという思いは常に頭にあって。シニア犬の行き先は私も初めての経験になるので、覚悟しています。医療費も今よりかかると思いますし、そのために、毎月決まった額を犬貯金してるんです。

O.B. 犬貯金!?それはいいアイデアですね。

荒川 専用の通帳に「犬」って書いて(笑)。犬に何かあった場合だけじゃなく、飼い主に何かあった場合も、お金と一緒に引き受けてくれる人を探しやすいと思うんです。もちろん、使わない結果になるのが一番ですが、犬が先に逝くとは限らないなって。愛犬のためにできることのひとつとしてこれからも続けていこうと思っています。

荒川静香(あらかわしずか)

1981年12月29日生まれ。神奈川県出身。1歳半から仙台で過ごす。小学校入学後、本格的にフィギュアスケートを始め、小学校3年で3回転ジャンプをマスター。1994~1996年には全日本ジュニアフィギュア選手権3連覇。1998年長野五輪出場。2003年、ユニバーシアード、冬季アジア大会にて優勝。2004年世界選手権にてワールドチャンピオン獲得。2006年トリノ五輪で金メダル獲得。同年5月のプロ宣言後、国内外のアイスショーを中心に、テレビ、イベント出演、スケート解説、オリンピックキャスターとして活躍。イタリア・ピエモンテ州の観光大使も務める。プリンスホテル所属。