ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

3月16日公開の『ひまわりと子犬の7日間』で映画初出演を果たした、大人気のお笑いコンビ・オードリーの若林正恭さん。同作は、宮崎県の保健所で実際に起きた実話をもとに、動物と人との絆を丁寧に描いた物語。しかし、ご本人いわく「実は犬や動物が苦手」なんだそう。それでも出演を決意した経緯や、映画をキッカケに犬に対する考え方が変わったこと、それまで知らずにいた殺処分への思いなどを伺いました。

思いを伝える方法として物語のある映画ってすごくいいと思う。
子どもたちにも理解してもらいやすいですよね。

ONE BRAND(以下、O.B.) 保健所で起きた実話をもとに、犬の親子と保健所職員の絆を描いた『ひまわりと子犬の7日間』。若林さんは保健所の新人職員という役柄を演じられました。作品の見所を教えてください。

若林 動物が主役の映画ですが、描かれていることはいっぱいあります。親子の関係性、仕事の大変さ、地域に暮らすそれぞれの人たちが抱える思い。人の思いが軽んじられている部分って、社会や世の中にあるじゃないですか。そういうことも描かれているし、この作品は今の世の中を最先端に象徴している話だと思うんです。僕も多くのことを考えさせてもらいました。作品のモデルになった方にもお会いしたんですが、犬を愛していて、犬が大好きな人が、わざわざ殺処分の現場で働いているということ。そこに人の強さとか、そういうことを背負ってくれている人がいるってことに、僕自身立ち止まって考えちゃいましたね。

O.B. 犬を通じて、家族や社会のさまざまな思いが描かれているんですね。でも、若林さん自身は犬が苦手で、一緒に暮らしたこともないとか。

若林 そうなんです。昔は野良犬って多かったじゃないですか。小学校2年生のときかな、友達7人で遊んでいたら急に野良犬に追いかけられて。僕は足が速いもんで、先頭を走って逃げてたんですけど、かかとを咬まれちゃいました。6人追い抜いて、先頭の僕が咬まれるっていう(笑)。
まあ、そういうことがあったんですけど、ただ、咬まれたことが苦手の原因になっているかは分からないです。動物だけじゃないので、苦手なものは。虫とかも全然触れないですし。犬はかわいいとは思うんですけど、触ると咬まれるんじゃないかっていう気持ちが常にわいてくるってことがあって。だからね、僕にこの仕事頼むってことは僕のことあんまり知らないんだなって(笑)。でも、はじめて監督と会ったとき「犬と触れあうのはワンシーンしかないから、その辺は大丈夫ですよ」って言われたんです。

O.B. 実際の現場ではどうでしたか?

若林 ひまわり役の柴犬のイチと休憩中に一緒に散歩したり、トレーナーの方に慣れ方を教わったりしました。咬まれない触り方とかも。

O.B. 演じていくうちに犬への愛情が芽生えてきたということはありました?

若林 イチに関してはありましたね、うん。

O.B. おお! では、犬が苦手というところから、少し考え方が変わったと。

若林 人間に裏切られたり、いろんな思いや出来事があって犬って咬むようになっちゃうらしいと。だから、最初から咬んでやろうっていうことじゃないんだって。そう思うと気が楽になって、イチだったら全然平気になりました。柴犬はかわいいですね。ほんと、不思議な魅力があります。

知らなければ感じられない思いがある

O.B. 映画でも描かれている、犬をとりまく日本の現状についてはご存知だったんでしょうか。

若林 なんとなくテレビかなんかで見ることはありましたけど、詳しくは知りませんでした。撮影で実際使われている保健所に行きましたけど、檻に命の期限が書いてあって、そのすぐ真横にガス室があって、山には殺処分された犬たちのお墓があって。それでも犬たちはご飯の時間になると走り回って喜ぶんですよ。こういうことって、なかなか見えてこない風景ですよね。完成した映画を通しで見て、このテーマを扱った平松監督の決意みたいなものを改めて感じました。

O.B. 若林さんのように犬が苦手な方にもこうした問題をアピールするには、どんな方法があると思いますか?

若林 やっぱり、まず知るっていうことが一番先にあって。ただ、愛犬家の方の楽しい話とか、わんちゃんの雑誌とか、ちゃんと陽のあたる明るい部分があることも重要で。なんていうか、ペットの陰と陽の部分を知ること。知ることで変わってくることだったりするし。たとえば、流行っている犬種だからって飼って、飼えなくなって捨てられちゃったら、その犬が野犬化して、人間に裏切られたり、いろんなことがあって咬むようになって、その終わり際が殺処分ということになると、非常に悲しい話ですよね。演じていて心が痛んだし、それは知らなければ感じられないことです。
あと、現場を見るっていうのがひとつ大事なんじゃないかと思っていて。子どもたちが現場に来て父親の仕事を理解するってこと、あるじゃないですか。学校で上映したり、大人だけじゃなくて子どもたちにも現場を知ってもらう方法として、きちんとした物語のある映画はいいと思います。思いが伝わっていくことがすごく重要だと思うので。

O.B. いろいろなことを知って、さまざまに感じるようになった今、犬を飼いたいと思っている方にアドバイスをするとしたら若林さんはどんな言葉をかけますか?

若林 最期まで責任を持ってっていうのは絶対。家族として、生活の物語を一緒に紡いでいく命ですから。それに、たくさん愛し続けてあげること。きっとこれしかないですよね。

若林正恭(わかばやしまさやす)

1978年生まれ、東京都出身。2000年に中学・高校の同級生だった春日俊彰とお笑いコンビ、オードリーを結成。2008年の『M-1グランプリ2008』決勝において敗者復活戦を勝ち上がり、準優勝を獲得。その後、大ブレイクを果たし、現在に至るまで多数のテレビ・ラジオ番組で活躍中。2011年「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」で舞台初出演を務める。

ひまわりと子犬の7日間
2013年3月9日(土)より宮崎先行ロードショー
2013年3月16日(土)より全国ロードショー
©2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会

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