ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

テレビ番組の司会者としてお馴染みの江口ともみさんは、子どもの頃から動物大好きで犬との暮らしを大切にしておられましたが、昨年末に愛犬を亡くされました。そんな中にもかかわらず夫であるお笑いタレントのつまみ枝豆さんと共に、東日本大震災によって被災したペットたちの支援活動を今でも継続しておられます。パワフルでしなやかな江口さんから、犬たちへの愛のこもったお話をうかがいました。

ONE BRAND(以下、O.B.) 江口さんは、昨年(2012年)11月に愛犬のろび君を18歳で亡くされたとのこと。
ろび君はもともと迷い犬だったそうですが、どこでどんなふうに出会ったのですか?

江口 ろびと出会ったのは、17年前に仕事で訪れた静岡県御殿場市のある公共施設でした。その施設の周辺には野良犬が多く、ろびもその中の一頭だったのです。ろびは施設にやってきては来場者に甘えていたらしく、施設の方が「次に来たら保健所につれていかざるをえない」とおっしゃるので、私はびっくり仰天!「このままでは保健所に連れて行かれ処分されてしまう!!」と思ったら、いてもたってもいられず、仕事終了後、一緒に連れて帰ってきてしまいました。
実はそのとき、子どものころから18年も飼っていた愛犬(トイ・プードル)を亡くしたばかりだったので、私も実家の母もとても新しい犬を迎える気になれなくて、ろびは自分で飼うのではなく、新しい飼い主を捜してあげるつもりだったんです。でも、人懐っこいろびに母も私もすっかり魅了されてしまって、結局、実家でろびを飼うことに決定。今思えば、私たちが愛犬を失った心の痛みを、ろびが癒してくれたんですね。
私はろびが来て約1年後に結婚したのですが、主人との新居探しの第一条件は、ろびの散歩圏内(笑)。毎日一緒に遊んだり散歩に行ったり。楽しかったですね。
ちなみに、最初は御殿場で命びろいしたから、「びろ」という名前だったのですが、響きが悪いので「ろび(正式名はろびお)」という名前に変えました(笑)。

O.B. 愛玩動物飼養管理士の資格をお持ちだとか。取得しようと思ったきっかけは?

江口 ある日、母が実家近くの公園でろびの散歩をさせているとき、柴犬を連れた男性がすぐ近くを通りかかったそうです。そこには、ろび以外にも近所の犬たちがおり、みんな、尻尾を振ってその柴犬のほうを見ていたそう。でも、その男性は自分の犬に近づいてくる犬が許せなかったのか、いきなりろびの首輪をつかんで顔を殴るという信じられない行動に!母を含め、その場にいたのは女性ばかりだったので怖くて抗議できず、おろおろしているうちに男性は立ち去ってしまったそうです。
母からの電話で急いで駆け付けてみると、かわいそうに、ろびは右頬の毛が抜け、口の中は内出血を起こしていました。自分も犬を飼っている愛犬家でありながら、犬にこんなひどいことをするなんて許せない!と頭にきた私は、男性に謝罪させるべく、その後数日間、公園で張り込んでいたのですが、ついに男性を見つけられず、とても歯がゆい思いをしました。この経験を通じて、犬を人の暴力や虐待から守るために法的な知識を身につけたいと思うようになり、その勉強の一環として取得したのが、愛玩動物飼養管理士の資格です。勉強を通じて法律以外にもいろいろな知識を得ることができましたし、情報交換できる仲間ができたので、取得しておいてよかったなあって思っています。

O.B. 江口さんのブログによると、ろび君は最期の1年間は介護が必要だったようですね。

江口 そうです。ろびは2012年11月に18歳で亡くなったのですが、その2か月ほど前には歩けなくなりました。私は実家に泊まり込んで、母と一緒にろびを介護。仕事は極力減らしていましたが、家にいるときは体重が15kgあるろびを抱きっぱなしだったので、体力的にはとてもつらかったですね。特に当時76歳だった母にはかなりの重労働だったと思います。でもその甲斐あって、ろびは最後まであまり苦しまずに穏やかな表情で旅立ってくれました。もちろん、「ああしてあげればよかった、こうすればよかった」と、後悔することもありますが、いずれにせよ、最後の1年間は一緒に濃厚な時間が過ごせて、本当に幸せでした。

O.B. 東日本大震災直後から被災動物へのサポートを、ご夫婦で続けていらっしゃいます。
活動を始めたきっかけは?

江口 震災直後から、緊急災害時動物救援本部の活動に参加、被災地の動物たちのための支援物資集めや輸送のお手伝いをしました。動物が大好きな私たち夫婦にとって、被災動物を助けるのはごく当たり前のこと。何か特別なきっかけがあって始めたのではないんですよ。震災直後は交通網も混乱して現地に行けなかったので、物資集めや支援の呼びかけなど、東京でできることからスタート。徐々に賛同してくれる方が増え、支援の輪が広がっていったという感じです。現在も不定期ですが、福島県のシェルターのお手伝いをさせていただいています。
もちろん緊急時は被災者支援が第一ですが、動物たちの命もしっかり守ってあげなくては。特にペットや家畜として人に飼われていた動物は、人のサポートなしに自力で安全を確保することは難しいですよね。泣く泣く愛犬・愛猫と離れ離れになってしまった被災者の方に安心していただくためにも、被災動物の支援は絶対に必要です。それに被災動物を放置してしまうと野生化して2次災害を引き起こしてしまう恐れも……。行政には、今回の震災の教訓を生かして、緊急時の動物へのサポート体制をしっかり確立してほしいと思います。

O.B. 震災発生から丸2年が経ちましたが、現在の被災動物たちの様子はいかがですか?

江口 岩手や宮城に関しては、シェルターも縮小または閉鎖され、終息の兆しが見えてきました。しかし放射能の問題が残る福島では、いまだ終わりが見えない状況が続いています。私たちの関わっている福島のシェルター(福島県動物救護本部)には、いまだに200頭を超える犬や猫を保護している状態。特に原子力発電所周辺の警戒区域で保護された犬や猫は、飼い主の方自身の生活再建がままならない状況ですから、なかなか地震前の生活に戻してあげることが難しいんです。一朝一夕に解決できる問題ではないので、引き続き根気強く支援に取り組んでいかねばならないなと思っているところです。

O.B. 現在の課題はなんですか?

江口 活動を続けるためには、引き続き皆様からのサポート(支援物資、寄付、ボランティアなど)が欠かせません。支援体制を維持していくことは、やはり重要な課題ですね。
同時に私が個人的に力を入れていきたいのは、現地スタッフのモチベーションをUPすること。毎日頑張ってくれているスタッフのためにお揃いのTシャツを贈ったり、現地入りした時はスタッフの慰労会を開いたりと、知恵を絞っています。
もちろん、被災動物に新しい家族を探すことも大きな課題です。周囲の人に話を聞いてみると、被災動物を飼いたいと思っても具体的にどうすればいいのかわからない人が多いようなので、被災動物の存在だけでなく、飼うための手続きについても、根気強く周知していきたいですね。
また、これは復興支援全般に言えることですが、ボランティアの数や寄付が徐々に減ってきています。場所によってはまだまだ支援を必要としている場所もあるので、ぜひ皆さんの協力をお願いしたいと思います。もちろん、現地に行けなくても、被災地のためにできることもたくさんあります。みんなが問題を共有して震災を風化させないことが、今の一番の課題ではないでしょうか。

O.B. 日本ではまだ年間4万頭以上の犬が殺処分されていますが、この問題を解決するためには、どんなことが必要だと考えていらっしゃいますか。

江口 以前、アメリカのシェルターを何か所か見学させてもらったことがあるのですが、すごく清潔で明るい雰囲気の施設が多く、気軽に保護犬を見に行くことができるんですよね。一方、日本の保健所は鉄格子があって、なんだかとても暗い雰囲気。この雰囲気のせいで、保護犬のイメージまで悪くなっているような気が……。保健所がもっと明るくてオープンな施設になれば、新しい家族も見つかりやすくなるのではないかと思いますね。
でも、保護犬の数自体を減らさないと、いくら新しい家族を探しても、問題の根本的な解決にはなりませんよね。そのためには、やはり幼いころから、命の大切さを教える教育が必要だというのが私の意見です。ぜひ実践してもらいたいのは、厳しい現実をあえて見せること。残酷かもしれませんが、子どもたちに殺処分がなぜ、どんなふうに行われているのかを、正確に教えるべきだと思います。殺処分の残酷さ、悲しさを幼いころから胸に刻んでおけば、将来、安易に犬を捨てるような大人には育たないのではないでしょうか。

O.B. 最後に保護犬を飼おうかどうか迷っている方へ、メッセージをお願いします。

江口 まず、犬たちの瞳を見てあげてください。きっと何かを伝えよう、訴えようとしているはずです。それがすーっと心に伝わってきたら、その犬はきっと運命の犬。きっとあなたにとってかけがえのない大切な家族になってくれると思います。犬は、愛情を与えれば与えただけ、あるいはそれ以上の愛情を返してくれるんです。
私自身はまだ、ろびを亡くしたばかりで、新しい家族を迎える気にはなれていないのですが、もうすこし時間が経ったら、また犬と暮らしたいですね。今度はどんな犬と運命の出会いができるのか、今から楽しみにしています。

O.B. 江口さん、ありがとうございました!

江口ともみ(えぐちともみ)

『江口ともみさんオフィシャルサイト』
http://www.ingtokyo.com/momi/
『江口ともみさんオフィシャルブログ』
http://ameblo.jp/momirobi/