ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

家族でいる時間を何より大切にしたいから、 どこへ行くにも「みんな一緒」が理想です。 トイプードルのチョキ(歳オス)とアピ(8歳オス)、ラブラドルレトリバのカーラ(3歳メス)、スタンダードプードルのハニー(8ヶ月メス)、4頭の愛犬と撮影に臨んでくれた工藤夕貴さん。「犬がいないとダメなの」と笑う彼女の心には、20代で出会い、苦楽をともにした愛犬、アインスタインとラグラスの存在が今もありました。2頭とのエピソードを中心に犬たちへの思いを伺います。

ONEBRAND(以下OB) 幼い頃から犬がお好きだったんですか?

工藤夕貴さん(以下工藤) 子どもの頃からいつも犬や猫がそばにいて、我が家ではそれが普通のことでした。一緒にいるのが当たり前だったので、動物が近くにいない生活が想像できないんです。仕事の撮影も長期間犬と離ればなれになるのが耐えられなくて、どのコかは必ず連れて行きます。最近、キャンピングカーを購入して、今、納車待ちなんですよ。みんなで出掛けるのが今から楽しみです。

OB いつも一緒なんですね。

工藤 ホントに私、犬がいないとダメなんです。隣に犬がいないと変な感じがしちゃう。ひとつの群れみたいな感覚なのかな。家族でいる時間が大切だし、みんな一緒に行動できるのが理想なんです。
私たち、夫婦で話し合って月に1回のペースで犬連れ旅行をしようって決めたんですよ。うちのコたちは普段は他のワンちゃんと交流する機会が少ないんですけど、旅先のドッグランで犬同士楽しそうに遊ぶ様子を見ていると、人間だけじゃなくて犬たちにもリフレッシュになってるなと感じます。もっともっと犬と楽しめる施設が増えるといいですよね。
でも、昔を振り返ると、私が初めてラブラドールレトリーバー(以下ラブ)と暮らしてた頃なんて、それこそどこにも行ける場所なんてなかったですね。

OB いつの頃のお話ですか?

工藤 20年前のことです。子どものとき、塩屋賢一さんという日本初の盲導犬を訓練された方の本を読んで、ずっとラブと暮らしてみたいって思ってたんですよ。大人になって夢を叶えました。

OB 実際の暮らしはいかがでしたか。

工藤 もう、すごく大変(笑)!アインスタインくんといって、とっても頭のいい犬だったんですけど、とにかくやんちゃで。これはしっかり躾をしなくちゃいけないと思って、本を何十冊も読んで独学で勉強しました。あるとき、どうしようもなくなってプロの方に訓練をお願いしたことがあったんですけど、ぶるぶるおびえてお腹を壊しちゃったんです。それで「やっぱり自分でやらなくちゃダメだ」と思いました。すごく手は掛かりましたけど、そのおかげで「ママ呼んで来て」っていうと母を連れてきてくれたり、「ティッシュ取って」っていうとティッシュを持ってきてくれたり、ホントにそういう犬に育ったんですよ。
その後しばらくしてラグラスがもらわれてきて、ラブの2頭飼いになりました。大変なこともあったけど、とにかく可愛くて可愛くて仕方なかったです。仕事でアメリカに行くことになったときも迷わず2頭を連れて移住しました。

OB アメリカの暮らしはどれくらい?

工藤 26歳から8年間いました。最初の頃は仕事が全くなくて食べるにも困るような生活だったんです。オーディションに落ちまくって苦労の連続でしたけど、いつも2頭が隣にいてくれました。グリーンカードがとれて働けるようになってからは犬に関わるアルバイトをいろいろしましたよ。シェルターや訓練施設、もともと興味があったアニマルセラピーのお手伝いなども経験しました。

犬のためにも自分のためにも
大切なのは信頼関係を築くこと

OB 2頭はアメリカでも元気に?

工藤 はい。日本に戻る頃にはすっかりシニア犬になってましたけど。

OB シニア期のケアというと、大型犬は特に大変なイメージがあります。

工藤 確かに大変でした。2頭ともガンになってしまったんですが、病院の先生に許可をもらって自宅で看病しました。24時間点滴だったので、仕事もほとんどせずに付きっきり。介護用のグッズを手作りしてケアしやすいように工夫したりもしました。でもね、2頭とも寝たきりにならず、アインスタインは16歳、ラグラスは18歳まで生きたんです。

OB 長生きしてくれたんですね。

工藤 アインスタインは一度倒れたときにもう無理だろうって病院で言われたんです。そのとき思わず「まだ逝かないで」って言葉が出て。そしたら、そこから持ち直して一週間も長く生きてくれた。本当に逝かないでくれたんです。今考えるとアインスタインにとって良かったのか?と切ない気持ちになるんですけど、犬ってすごいですよね、最後の最後まで飼い主を喜ばせようとするんですから......。

OB シニア期の犬との生活で気をつけていることはありますか?

工藤 食事にはすごく気を使っています。人間も同じですけど、まず、身体に良い物を選んで、決して食べさせ過ぎないこと。私は今までどのコも体重オーバーさせたことはありません。それから、ストレスをかけないこと。これは一番大事だと思います。飼い主さんとの関係性や躾の問題に関わることだと思いますが、信頼関係が築けていると、犬はどこに行ってもどんな場所でも安心して落ち着いていられます。ストレスを感じないでいられるんです。これって、飼い主さんにも嬉しいことですよね。どこにでも連れて行けるから一緒のお出かけが楽しくなるし、周囲に迷惑をかけない犬に育つことで、殺処分など不幸な犬を減らすことにも繋がると思います。私は独学で躾を勉強してきましたけど、自分の経験から、躾は何歳からでも遅くないと思っています。犬は「今」を生きる動物だから、少しずつでも続けることで絶対に変わっていく。どんな犬に対しても「出来ない」と決めつけないで「このコは出来る、変わる」って飼い主さん自身が愛犬を信じてあげて欲しいなって思います。

OB 最後に、犬を取り巻く日本の現状について思うことを聞かせてください。

工藤 人間と犬は同じ社会をシェアしている生き物同士なのに、法律ではいまだに犬は物扱いで悲しくなります。犬を家族の一員として認める法律が一日も早く作られてほしいし、社会の認識も変化していってほしい。そのためにも、良き家庭犬として最低限の躾を身につけることは大切なんですよね。子どもを育てていくうえでも、家族を作っていくうえでも、犬が人間社会の一端を担えることってすごく大きいと思います。犬を家族として迎えられる社会のために、私なりにできることを続けていきたいと思います。

工藤夕貴(くどうゆうき)

1971年東京生まれ。83年デビュ後、映画『逆噴射家族』(84)で横浜国際映画祭最優秀新人賞受賞。ジム・ジャームッシュ監督『ミステリー・トレイン』(89)に出演以降、海外作品に多く出演。邦画では『戦争と青春』(91)で日本アカデミ賞優秀主演女優賞を受賞。国外でも活躍を続け『ヒマラヤ杉に降る雪』(99)では主演を務めた。12年主演の『カラカラ』では第36回モントリオール世界映画祭で観客賞、世界に開かれた視点賞の2冠に輝く。現在、静岡県富士宮市在住。女優業のほか、富士山を望む自然豊かな場所で農業をしながら『カフェナチュレ』を経営。