ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

こんなにも私の人生を変えたコはいません。別れは辛いけど、シナモンに出会えた人生はすごく幸せだったと心から思います。 大の愛犬家として知られる川島なお美さん。今年の1月、歳になる“愛娘”のシナモン(ミニチュアダックスフント)が静かに天国へと旅立ちました。ココナツ(シナモンの息子歳)を抱きながら、シナモンの思い出を語るときの優しい笑顔と愛おしそうな表情がとても印象的です。シナモンへの思い、犬を愛するということ、理想とする未来など、現在の心境をじっくり聞かせていただきました。

ONEBRAND(以下OB シナモンとの別れの朝や、その後の心情を綴ったブログは涙なしには読めませんでした。

川島なお美さん(以下川島 昨年末頃からほとんど寝たきりで流動食になっていました。でも、こんなに早く逝くなんて思ってなかったんです。徐々に衰えてはいましたけど、歳の誕生日を迎えて欲しいと思ってましたから......。それでも、私の仕事がない朝、私の腕の中で逝ってくれました。お見送りできたのはシナモンからの最期のプレゼントだったのかな。看取れなかったら仕事をしていた自分をきっと一生悔やむでしょう。最期まで親孝行してくれたんですね。息を引き取る瞬間はとても穏やかで、微笑んでいました。その後、一緒にお風呂に入って、荼毘に付されるまでの2日間、シナモンを抱いて一緒に寝ました。
亡くなる前々日のこと、家に帰った私をシナモンが玄関まで迎えに来てくれたんです。元気で食欲もりもりの時代には、ご飯をくれるママの帰りは嬉しいのは当たり前ですが、食欲がなくなった彼女にしては珍しいこと。尻尾を振り絞って、ゆっくり、ゆっくり歩いて。私の目を見ておかえりって言ってくれた。目で、シッポで、今までも本当にたくさんの会話をしてくれたコでした。
シナモンとは運命的な出会いだったんだなと心から思います。だって私の人生をこんなにも変えたコはいませんから。こんなにも毎日にハリがあって、一日一日に意味があって、今まで興味がなかった世界がいっぱい見えて。生きる喜びをたくさん教えてくれた。ココナツという素晴らしい贈り物もくれましたしね。

OB 悲しみのなか、心の支えになった言葉などがあったら教えてください。

川島 友人からの言葉で「別れは辛くて悲しいけれど、悲しければ悲しいほど、それは幸せなこと。心が引き裂かれるほど別れが辛い相手と出会えた人生は、出会えなかった人生よりずっと幸せだから」というものがありました。本当にその通りですよね。すごく納得できる言葉だったので心が軽くなりました。「泣きたいときは我慢せず思いっきり泣いてください」とファンの方に言っていただいたことも嬉しかったです。思いっきり、泣きました。たくさんの方がブログに温かなコメントを寄せてくださって、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

OB ココナツの存在も大きく、助けになってくれたのでは?

川島 ココナツの存在は確かに大きいけれど、それ以上に心配でもありました。シナモンが息を引き取る瞬間を一緒に見ているので、きっとすごくショックだったと思うんです。その日の朝ご飯を食べませんでしたし......。シナモンは人見知りも犬見知りもしない社交的な性格でしたけど、ココナツは他のコはダメで。生まれてからずっとシナモンだけ。シナモンがいなくなって、前よりももっと甘えん坊になりましたね。でもそのおかげというか、主人とココナツの絆が以前より深くなりました。主人はずっとシナモンにメロメロで、ココナツとはライバル同士のような関係だったんですけど、今はココナツが主人にもべったりなんです。

縮した時間を生きる犬たちに
寄り添って生きていきたい

OB テレビ番組にもよく一緒にご出演されていましたよね。

川島 シナモンは映画やドラマデビューもしているくらいですから(笑)。身体が小さくて吠えないコだったので、どこにでも連れて行きました。仕事の現場もずっと一緒。制作現場の雰囲気も大好きで、本番が終わるまで静かに待っていられました。旅もたくさんしましたよ。念願のハワイにも行ったし、国内も沖縄から北海道まで全国あちこち行きました。
「こんな場所にも行った、こんな人にも会った」って、思い出が後から後からあふれ出てきます。いろいろな方からシナモンの思い出話を聞かせてもらうことも多くて、忘れていたことを思い出したり、本当に長い時間を一緒に過ごしたんだなと実感します。
私が恵まれていたなと思うのは、私自身が忙しいときに、代わってケアをしてくれる人が周りにいたこと。仕事で家を空けるときは実家や親しい友人に預けていたので、シナモンが生きた年と日、一度もペットホテルに預けたことがないんです。人間にとってはたった一日でも、犬にとっては一週間ってことにもなる。そんなにも一日を凝縮させて生きていることを思うと、なるべく一緒に付き合ってあげたいと思うんです。

OB 東京五輪が開催される2020年までに不幸な犬や猫をゼロにしようという「TOKYOZEROキャンペーン」に賛同を表明されています。犬たちへの思いを聞かせてください。

川島 幼い頃、我が家にペスという雑種犬がいました。鎖につながれて、近づくとウ〜っと唸るのでなかなか仲良くなれなかった。あるとき母が、ペスを保健所に預けようかって言うんです。お友達もいっぱいいるからって。私、それなら預けていいよって言いました。幼心にペスに良いことをしてあげたって思ったんです。後から本当の意味を知ったときはものすごくショックで......。母を責めましたし、泣きました。今でもトラウマになっていて、ペスへの贖罪の気持ちをずっと抱えています。同じような思いをするコを減らしたいと思い続けています。
有名な「虹の橋」(※)の物語がありますよね?亡くなった動物たちが生きているときの苦しみや辛さから離れ、みんなで楽しく過ごしながら飼い主を待つ場所の物語。想像上の「虹の橋」は亡くなった後に行く場所だけど、生きている現実の世界でも平和で健やかにみんなが共存できる社会を目指したい。想像できることは実現もできると信じています。
私は犬を愛することで自分の人生が完成するのかなと思っていて。そうじゃなければ人の魂の半分は眠ったままだったんじゃないかと思うんです。犬を愛するということは、無償の愛を注ぐこと、毎日笑って過ごせること、嫌なことがあっても忘れられること。うちのコが世界で一番可愛いって、飼い主さんみんなが同じ気持ちであってほしいと願います。

川島なお美(かわしまなおみ)

1960年11月、名古屋市出身。主な出演作としてドラマ『イグアナの娘』『失楽園』『アットホーム・ダッド』、主演映画『鍵』『メトレス』『チャイ・コイ』など。1998年ゴルデンアロー賞受賞。フランス4大ワイン産地より4つの騎士号を叙任。ワインエキスパート、名誉ソムリエの称号、アクアアドバイザーの資格を持ち、茶道、料理、フランス語、クラシックバレエなど趣味も多彩。高知県と愛知県で観光大使を務める。夫は人気パティシエの鎧塚俊彦氏。5月、6月に銀座博品館劇場で上演されるミュジカル『広い宇宙の中で』で主演を務める。