ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

ご両親が主宰・看板女優をつとめた劇団
を我が家のように育ったという大鶴さん。
たくさんの人に混じって、犬や猫、動物
たちとも一緒に暮らす毎日だったそう。そ
んな幼い頃の思い出や、現在の愛犬スコッ
トくんとのエピソードを楽しく聞かせてい
ただきました。さらに、殺処分問題につ
いて思うこと、取材先の海外の村で感じ
た犬と人との自然な関係についても教え
ていただきました。

幼い頃から動物が大好き。
物心ついたときには、動物たちに囲まれて暮らしていました。

ONE BRAND(以下 OB)昔から犬がお好きなんですか?

大鶴義丹さん(以下大鶴)犬に限らず子供の頃から動物が好きです。物心ついて気付いてみたら、犬や猫などの生き物がそばにいました。うちは両親が劇団をやっていたので、我が家が稽古場を兼ねていました。だから動物も劇団で飼っていたようなものなんです。

OB お父様の唐十郎さんが主宰し、お母様の李麗仙さんが看板女優をされていた劇団ですね。

大鶴 はい。セントバーナードやポインター、犬は大型犬が多かったですね。あとはビーグル、パグ、雑種の子もいました。子犬を譲ってもらうことが多かったけど、野良犬を拾ってくることもありました。昔は野良犬がたくさんいましたから。うちにいたのはスピッツの雑種。頭が良くて、身体もすごく丈夫で。よく雑種の子は強いっていうけど、ホントだなって実感しましたね。

猫も好きでいつも1、2頭はいた。母が地方公演のときにテントに紛れ込んだ野良の子猫を連れ帰ったこともありましたし。それから、縁日のひよこも育てましたよ。立派に育って、よくセントバーナードの鼻を突いてました(笑)。ちょっと意外ですけど、鶏も懐くんですよ。

OB 人と動物が、一緒に暮らす楽しい雰囲気が伝わってきます。

大鶴 初めて自分で犬を迎え入れたのは28歳のころ。もう結婚してましたし、大型犬が好きなので、ゴールデン・レトリーバーを2頭迎えました。その子たちを亡くしてからはしばらく動物と暮らしていなかったんですが、あるとき突然母がボーダーコリーの子犬を連れて来た。それが今一緒にいるスコット(オス8歳)。母と2世帯で暮らしているので、一緒に面倒を見ています。といっても仕事柄、家を空けることも多いので、8対2くらいの割合で母が世話してますね(笑)。

スコットはボーダーコリーにしてはちょっと大きくて、今23〜24キロ。ゴールデン・レトリーバーのメスくらいあります。暑いのが苦手で、夏はサマーカットで対策。春ぐらいからもうハアハア暑そうにしてますからね。逆に寒さには強くて、1〜2°Cだったら平気で外で寝てます。あと、泳ぎますけど、水はそんなに好きじゃないみたい。ゴールデン・レトリーバーたちはホントに水が大好きで、冬でも山中湖で泳いでましたけどね(笑)

OB 犬種の違いが面白いですね。

大鶴 ボーダーコリーってね、すごく面白いんです。スコットなんか、知らない人とは散歩に行かないですしね。自分の役に立たない、メリットがないと思うと、知らん顔して無視するんです。特に子供なんか完全に無視。吠えることもなく、全無視(笑)。そういうところはやっぱり作業犬なんだろうなと思います。クールというか、余計なことをしない。でも、家族のことは大好きで甘えん坊です。

OB それは飼い主冥利につきますね。

大鶴 そうですね。母なんかそれはもう可愛がっていて。スコットに話しかけて相づち打って、会話してます(笑)

犬の成長にとって、飼い主や育つ環境が
大きく影響することをもっと知ってほしい。

OB 殺処分問題についてはいつ頃から?

大鶴 もちろんずっと知ってはいました。子供の頃、犬が逃げて施設に迎えに行ったこともあるし、殺処分寸前の犬を引き取ったこともあります。あと少し連絡が遅かったら殺されていたかもしれないと知って、子供心に相当びっくりしました。施設には独特の雰囲気がありますしね......。やっぱり、一部の悪質なペットショップやブリーダーの問題は大きいと思います。

OB 動物愛護の講演もされています。

大鶴 ご縁があって愛知県岡崎市の動物総合センター(※)でお話しさせていただきました。そのセンターでは犬猫を保護して新しい家族を探すことをしていて、とても興味深かったし、僕自身すごく勉強になった。今後もこうした活動は続けていきたいと思っています。

そもそも、動物と暮らすこと自体、本来はすごく難しいこと。だから僕ね、犬を飼いたいって言う人にやめといたほうがいいよって言いますもん。まあ、これは極論ですけど、そこがベースにあるといいんじゃないかって、子供の頃からさんざん犬と猫と暮らしてきて思うんです。難しいし大変だからやめときなさいよって。実際大変だし、そんな簡単にいくもんじゃない。それでも一緒に暮らしたいっていう人が一生懸命勉強して、環境も整えて、それでやっとスタートすればいい。現在の状況は犬を迎えるハードルが低すぎると思います。

OB 意識の問題ですね。

大鶴 テレビの取材でミャンマー、アフリカ、パプアニューギニアの田舎の村に行ったとき、不思議なことにどこに行っても犬がいて、みんなすごく犬の扱いが上手でした。先進国で起きてるようなトラブルは一切なくて、可愛がりながらも主従関係がきちんとできている。健全な関係が築かれているのを見て、近代的な愛玩の仕方は間違ってるんじゃないかって感じました。犬は犬種が持ってる特性のほかに環境が与える影響がすごく大きい。飼い主の接し方や環境次第でどうとでもなってしまうということをもっと知ってほしいし、忘れないでほしいと思います。

※岡崎市動物総合センター/これまで岡崎市の保健所・環境部・経済振興部など別々の管轄で対応していた動物関連窓口を一元化し、動物に関するより専門的な相談体制を整備した総合施設。

大鶴義丹(おおつるぎたん)

1968年東京都出身。高校時代からN H Kドラマに出演。その後、日大芸術学部文芸学科在学中に映画『首都高速トライアル 』にて俳優として本格デビューを飾り、テレビドラマや舞台を中心に活動を続ける。大学在籍中の’90年に執筆した『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し、小説家デビュー。1995年『となりのボブ・マーリィ』で映画監督デビュー。脚本・監督作品は最新作‘13年『裸のいとこ』ほか。現在は情報番組、バラエティ、ドキュメンタリーにも数多く出演。趣味のバイクでは長期にわたって雑誌連載を持つなど多方面で活躍中。