ONELOVE すべての犬に愛と家族を。

special interview

ライフワークとして動物の保護活動に取り組んでいる滝川クリステルさん。愛犬アリス(ラブラドールレトリーバー、メス6歳)との生活は3年になります。アリスは福島県浪江町で保護された被災犬。里親として迎えたいきさつや、暮らし始めたころのエピソードを話してくれました。また、今年5月に自ら立ち上げた、動物保護の支援財団の活動内容や目指す目標についてもお聞きしました。

震災後、すぐに旧知のボランティアさんに連絡
「被災犬、どんな子でも引き取ります」

ONE BRAND(以下 OB) アリスちゃんとの出会いについて教えて下さい。

滝川クリステルさん(以下 滝川) 以前から、保健所で殺処分される犬たちのためにできることはないかと考えていて、いつかはそういう境遇の子を引き取りたいと思っていました。大型犬は施設でのお世話も大変だし、里親がなかなか見つからないという現状があるので、できれば大型犬を引き取りたいと思っていたんです。実際、動物が飼えるマンションに引っ越して準備を整えていたところ、震災が起こり、気持ちが決まりました。すぐに知り合いのボランティアの方に連絡をとり、大型犬が保護されたらどんな子でも引き取りますと伝えたんです。

アリスが取り残されていたのは福島県の浪江町。震災から1ヶ月くらい経ったころ、近くをレスキューが通りかかり、たまたま吠えたところを気付いてもらえたそうです。アリスの写真を初めて見せてもらったときは、ガリガリに痩せ細って、目もつり上がり、怖いくらいでした。

OB 犬との暮らしは以前にも?

滝川 幼いときから家族のなかにいつも犬がいましたけど、私ひとりで育てるのはアリスが初めて。そもそも大型犬と暮らすこと自体が初めてだったんです。引き取って最初の3ヶ月ほどは飼い主さんが見つかるまでの〝一時預かり〞の状態なんですが、慣れないことばかりでもう大変でした。やんちゃで力も強くて、ドッグトレーナーさんに『滝川さんにはムリです』って止められてしまうくらい。でもそんなとき、元の飼い主さんが見つかり連絡があったんです。私、大変な気持ちでいっぱいだったのに、そのとき改めてこの子と離れられなくなってる自分の気持ちに気付きました。結果的には、飼い主さんは避難先で動物を引き取ることができず、最後にせめて会いたいという連絡だったので、無事に再会を果たした後、正式に私が里親になりました。

OB 保護犬や被災犬は心が傷ついていることがあると思いますが、アリスちゃんの場合はどうでしたか。

滝川 やはり感じました。テレビに福島の映像が流れると、この子、画面をじっと見て遠吠えするんです。私も悲しくて一緒に泣いたこともありました。

それから、出張で一週間ほど家を空けて帰ってくると、アリスの様子がおかしいということが何度か。ケージから出たがらないんですよ。大好きなご飯も散歩も嫌がって動かない。私が近寄ると震えることもありました。何でだろうってずっと思ってたんですが、きっと寂しいからだよって友人に言われ、ハッとしました。捨てられた経験がある子は、また捨てられるんじゃないかと思ってしまうって。それが恐怖や怒りに変わることもある。きっとアリスも、また置いていかれたと思って怖かったんだと思います。出張で家を空けるとか、こちらの事情は犬には分からないですもんね。今では私が戻ることを理解して待っていてくれます。

声を出せない動物たちのために
同じ気持ちの人同士が 繋がれる場を作りたかった

OB 出張の際はご家族がサポートを?

滝川 弟が来てくれます。それから、散歩中に知り合った方に預けることも。アリスと同じ名前のアメリカ人の女性で、虐待を受けた犬の一時預かりをしている方です。いつでも預かるわよって言ってくださって。こんなふうに家族や友人、いろんな人が、大丈夫?って声をかけてサポートをかって出てくれる。これは、アリスが大型犬だからこそだと思います。

OB しつけはどうされたんですか?

滝川 実は引き取ったばかりのころ、自由にさせてあげたほうがいいと思い、甘やかしてしまいました。そしたらずい分と我が強くなってしまって......。ですから、現在もドッグトレーナーさんと一緒にトレーニング中です。散歩は毎日1時間行くんですが、先日、それじゃ足りないって言われちゃいました。えー!私1時間って聞いてたんですけど!って思わず(笑)。ストレス発散のためにも2時間行くように言われているので、これからは2時間になりますね(笑)。

OB 以前から殺処分問題にも取り組まれてきた滝川さんですが、このたび動物保護のための財団を設立されましたね。

滝川 はい。活動内容は大きく分けてふたつあります。まず、より身近な問題に取り組む「Project Zero」。東京オリンピックが開催される2020年を目標に犬猫の殺処分や虐待行為のゼロを目指します。シェルターの持続を可能にするための支援だけでなく、セラピー犬や聴導犬になるための訓練をサポートする就職支援なども行っていきます。もうひとつの「Project Red」は、絶滅の危機に瀕した野生動物を救い、生態系を守る活動です。動物保護に関心はあるけど、何をすればいいのか分からないという人はたくさんいると思う。そういう人たちがこの財団を通して繋がってほしいし、そういう場を早く作りたかった。声を出せない動物たちのために、命を少しでも救うために、これからも積極的に行動し、前に進んでいきたいと思っています。

滝川クリステル(たきがわくりすてる)

1977年フランス生まれ。’02年からフジテレビ『ニュースJAPAN』のメインキャスターを担当。フリーに転身後、多くのTVやCMなどで活躍。WWF(世界自然保護基金)顧問、環境省地球いきもの応援団、世界の医療団親善大使を務める。’13年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ受章。東京2020オリンピック・パラリンピック招致“Cool Tokyo”アンバサダーを経て、現在、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会・顧問。そして14年5月、かねてより念願としていた動物保護・生物多様性保全を目的とした一般財団法人『クリステル・ヴィ・アンサンブル』を設立。