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2017.12.19(火) 09:00:04

【環境省コラム】知りたい!動物愛護への取り組み Vol.14
静岡県「成犬譲渡の推進事業」

ONE BRANDマガジンで人気連載コーナーだった「環境省コラム」がONE LOVE WEBでもスタートしました。動物の命を大切にし、やさしさあふれる人と動物が共生する社会の実現を目標とした「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」の中で、全国の自治体が取り組んでいる事例の数々を、ひとつずつお伝えしていきます。

 

今回は静岡県が獣医師やボランティアと連携して取り組んでいる、「成犬譲渡の推進事業」についてご紹介します。

 

■殺処分数半減を目指してスタート

静岡県では、平成20年3月に策定した「静岡県動物愛護管理推進計画」において、「人と動物とが共生する社会」の実現を目指すこととしました。

 

この計画は、「飼い主責任の徹底」、「人と動物の安全と健康の確保」、「地域活動の充実」の3つを取組方針としており、県ではそれぞれ数値目標を掲げた上で、様々な施策を展開しています。

 

このうち、「飼い主責任の徹底」の取り組みでは、平成21年当時、県全体で年間1万頭を超えていた犬や猫の殺処分数の半減を数値目標に掲げており、その目標達成のための施策の1つとして、平成21年10月から「成犬譲渡の推進事業」をスタートしました。

 

■1頭でも多くの成犬に生きる機会を

一般的に、人に慣れていない成犬や健康状態に問題がある成犬は譲渡が難しく、一定の保護期間を過ぎても譲渡先が見つからない場合は、殺処分せざるを得ないケースが少なくありません。そこで静岡県の「成犬譲渡の推進事業」では、県と県獣医師会、ボランティアの3者が連携して、成犬の健康管理や社会化に取り組むことによって、成犬の譲渡率向上を目指しています。

 

まず、県に引き取られた成犬を対象に獣医師が健康判定を実施、血液検査やフィラリア検査、ワクチン接種などを行い、感染症予防を十分に施します。健康判定を済ませた犬は、人との暮らしに慣れる社会化のためにボランティアの方の自宅にいったん引き取られます。ボランティアの皆さんは、静岡県が独自に作成した「成犬譲渡マニュアル」にしたがって、引き取った犬のケアやしつけを行い、その犬の気質を見極めます。県では一般社団法人静岡県動物保護協会のホームページで譲渡対象の犬について情報を発信し、新しい飼い主のもとに譲渡しています。

     

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■5年で目標達成!成犬譲渡数は約4倍に増加

県と県獣医師会、ボランティアの連携で取り組んだことが功を奏し、平成18年には静岡県が譲渡した成犬は96頭でしたが、事業を開始した平成21年には166頭、平成24年には373頭と、順調に譲渡数が増えています。犬の譲渡のうち、成犬の占める割合も平成18年の29.6%から87.8%と大きく伸びています。

 

「静岡県動物愛護管理推進計画」策定当時設定した「犬猫の殺処分数半減」の目標も事業開始から3年後の平成24年にはクリアすることができました。

 

県の担当者は「従来、県が引取りを行った犬から新しい飼い主に譲渡する犬を選ぶ場合、その選定や社会化に多くの時間を要していました。また譲渡希望者が現れるか分からない犬を、動物保護管理所で長期間飼育することは困難でした。『成犬譲渡の推進事業』を実施することによって、これらの問題点を解消することができ、それが譲渡頭数の増加につながりました」と話し、一定の手ごたえを感じていると言います。

 

「この事業を通じて、県と県獣医師会、ボランティアの3者による連携体制が築けたことも、県にとって大きな成果となっています。平成29年に発生した多頭飼育崩壊において、約90頭もの犬を行政、県獣医師会とボランティアの皆さんの協力で、わずか2週間ですべての犬を譲渡することができました。今後も、この連携をさらに強め、1頭でも多くの犬の命が救われるよう、努めていきたいと考えています」。

 

■犬猫殺処分頭数の更なる削減を目指して

静岡県では、「成犬譲渡推進事業」等の事業への多くの方の協力により、平成18年には11,506頭(犬:1,615頭 猫:9,891頭)だった殺処分数を、平成28年度には1,515頭(犬:65頭、猫:1,450頭)にまで削減することができました。今後、犬については、病気や性格の問題で譲渡が困難な犬への対応を検討し、猫については、TNR等により飼い主のいない猫対策を推進し、猫の引取りを減少させること等により、殺処分頭数をゼロに近づけていきます。

 

県の担当者は「事業が順調に継続できたのは、獣医師やボランティアの皆さんの協力があってこそです。特に自宅で犬の社会化に取り組むボランティアさんの負担は決して軽くありません。長く活動していただくためにも、今後は、ボランティアの方々へのサポートができる体制を徐々に整えていきたいと考えています」と話していました。

 

なお、静岡県では、本事業の継続と同時に飼い主を対象に終生飼養の大切さを伝える啓発活動にも力を入れ、保健所に持ち込まれる犬の数自体を減らす取り組みを強化することにしています。

 

 


◯ 環境省 <<人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト>>