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2017.09.04(月) 13:40:09

ニッポン放送 「ペットと一緒に」vol.45
性格的に飼いにくい犬種はいる?犬種の特質を知ろう

筆者が運営している犬のしつけ教室で、子犬を迎えることを検討している方などによく「飼いやすい犬種はなんですか?」と聞かれます。手入れのしやすさや必要な運動量など、なにをもって「飼いやすい」とするかは個々の感じ方により異なりますが、今回は、犬種の性質による特徴から、飼いやすさについて考えてみたいと思います。

 

犬種の作出目的から見えてくるもの

犬は何万年も昔から、人の作業のサポート役を担ってきました。現代の犬のほとんどは家庭犬となり、いわば失業状態が続いていますが、本来はそれぞれの犬種は与えられた作業がしやすいように品種改良が重ねられているのです。

 

たとえば、アナグマ猟を手助けしていたダックスフンドは、アナグマの巣穴に入りやすいように四肢が短くなり、巣穴の外で待ち構えている猟師によく聞こえる大きな声を出せる個体が選択交配させられました。

 

ミニチュア・ダックスフンドは獣猟犬

 

 

牧畜犬であるウェルッシュ・コーギーの四肢が短いのは、群れからはずれた牛を元に戻したり、牛を方向転換させたりする際、牛のかかとに噛み付く必要があったから。

 

ダックスフンドもコーギーも、吠えることも仕事のひとつとして重視されたため、吠えやすいという特徴を持っています。与えられていた仕事の性質上、身体的にタフなので、豊富な運動量が必要な犬種であるのも想像に難くないでしょう。

 

両犬種は日本で人気犬種の上位に入っていますが、先述したポイントから考えると、充足感を与えられる運動量を提供できたり、退屈をさせない工夫ができたりしないと、欲求不満が原因でいわゆる「問題行動」が出る可能性があります。

 

また、コーギーの場合は、自転車やバイクなどの動くものを追いかけたり噛み付いたりといった行動が出るケースもあり、飼い主さんを悩ませることがあります。

 

「見た目がかわいいから、ウェルッシュ・コーギーの肢が短くなったわけじゃないよ」

 

 

テリア種の気が強いわけ

筆者の愛犬はノーリッチ・テリアです。テリアには、大型から小型まで多数の種類がありますが、いずれも主に害獣駆除の役割を負っていました。

 

一般的には、農場に入ってくるキツネやアナグマやイタチなどの害獣を見つけると、テリアは威嚇したり闘ったりして追い出します。自ら捕獲して殺すことも多々。飼い主の指示を待つ必要はなく、自己判断で与えられた仕事を遂行します。当然ながら、ほかの動物を見ると尻尾を下げて怖がるようなテリアには仕事がこなせません。「お前のところのテリアは、勇敢らしいな~。うちの犬と交配させてくれよ」、「有能なテリアの子犬を譲ってくれ」となり、心身ともに強いテリアの血が受け継がれてきたのです。

 

小さいけれど勝気なテリアたち(筆者撮影。手前がケアーン・テリア。パリの朝の散歩風景)

 

 

今でも多くのテリア種は、ヨーロッパのドッグショーでは互いに対峙させて、目線を逸らしたり尻尾を下げて逃げ腰になったほうが負ける「スパーリング」が行われているほど、勝気な性質が重視されます。

 

筆者の愛犬2頭も、気が強く、自立心が旺盛で、頑固で、小動物を見ると追いかけるなどのテリア気質が満点。留守番が得意なのはありがたいのですが、おやつなどをめぐって2頭がギャゥギャゥとケンカっ早いのは困りものです。

 

これらを踏まえると、テリアと暮らすには、旺盛な好奇心や狩猟本能を満たすための運動や遊びを一緒に行ってあげられて、心身ともにタフな飼い主さんが向いているかもしれません。

 

ちなみに、日本古来の獣猟犬である柴犬や甲斐犬や北海道犬なども、テリアと似たような気質を備えています。

 

日本犬は獣と闘える強いマインドの持ち主

 

 

大型犬は危険?

大型犬は確かに小型犬に比べて力はありますが、大型犬だからといって一緒に暮らすのがむずかしいわけではありません。

 

たとえば、猟師が撃ち落とした水鳥などを泳いで回収する仕事をしていた、レトリーバー種。テリアや日本犬、グレイハウンドやボルゾイといったサイト・ハウンドなどとは違って自ら獣を探して捕獲することはないため、レトリーバー種は穏やかだと考えられます。

 

現在は盲導犬としても活躍しているレトリーバー種

 

 

一方で、土佐闘犬やピットブルなど、闘犬として作出された犬種は攻撃性が高い傾向にあり、国や自治体によっては「危険犬種」とされて飼育が禁止されたり規制されている例も。これらの犬種は、一般的に飼いやすいとは言い難いのも事実です。

 

と、ここまで作出目的を追いながら犬種の性質について述べてきましたが、結論から言えば、同じ犬種でも性格には個体差があり、ひとくくりにはできません。また、危険犬種とされる犬種も、育て方やトレーニング次第で、温和な家庭犬になる可能性も十分にあります。

 

反対に、貴族の抱き犬であったような愛玩犬に分類される犬種でも、生育環境や飼い主さんの接し方によっては攻撃行動(臆病さが原因となるケースが比較的多い)や、過剰な吠えが出現することもあります。

 

マッチョで強いイメージに惹かれて飼う人も多いとされるアメリカン・ピットブル・テリア

 

 

親犬の性格の遺伝、離乳までの母犬やきょうだい犬との関わり、子犬の社会化期の経験値などにより、犬種にかかわらず、どのような性格が形成されていくかも変わってきます。

 

もし新しく犬を家族に迎えようとしているならば、犬種の作出背景と特性は参考になるはずですが、犬種にレッテルを貼る必要はありません。

 

自分の性格やライフスタイルに合う犬種を絞り込めたら、どこから犬を迎えるかが重要なポイント。臆病であったり攻撃的であったり、遺伝性疾患がある犬は繁殖ラインからはずして、心身ともに健全な子犬を出産させて育てている良心的なブリーダーさんから、犬を迎えることをおすすめします。